香取慎吾、“これまで”が築き上げた2024年 広がり続けるNAKAMAの輪「いつも過去の自分に感謝してる」
夢のコラボ実現に「過去の自分に感謝」
よく「うまくいくときはトントン拍子に進む」という話を聞くが、それはきっとそれまで一つひとつ丁寧に拾い集めてきた証なのではないだろうか。3rdアルバム『Circus Funk』の制作秘話を聞いたときには、「香取慎吾だからこそ成立するもの」を私たちに見せようと奮闘してきてくれたことが窺えた。 全11組にも及ぶアーティストたちとのコラボレーション。そのなかには、中森明菜の名前も。香取自身も当たって砕けろの精神でオファーをしたところ、「香取くんに呼ばれて来ない選択肢はない」という言葉をもらったという。それこそ、香取のこれまでの歩みが誠実でなければ決して動かなかった話ではないだろうか。 また、在日ファンクと出会ったきっかけは、先述した黒木プロデューサーだったとアルバムを解説するYouTube動画で明かしていた。当時すでに黒木プロデューサーの病状が思わしくなく、もう先が長くないと知ったうえでの会話。何を話そうかと迷った香取は「歌っていくから、これからも」という決意を伝えたのだそう。そのときに次のアルバムで組むなら「在日ファンク。絶対慎吾さんといいフィーリングが起きます」と伝えられたのだという。 その後、「ファンは大事っていう曲が作りたい」と1時間ぐらい熱く思いを伝えたにも関わらず、後日渡されたデモが〈カツカレー〉と熱唱するものだったことに衝撃を受けたという香取。だが、その宇宙的発想に思わず笑みがこぼれ、そして聴き込むほどにノリノリになっていったことも、相性の良さゆえなのだろう。きっと、この未来が香取をよく知る黒木プロデューサーには見えていたのではないだろうか。 『Circus Funk』は12月4日発表の最新「オリコン週間デジタルアルバムランキング」で初登場1位を獲得。これは「オリコン週間デジタルランキング」において自身初の快挙となる。そして、このアルバムを携えて12月3日、4日に東京・国立代々木競技場 第一体育館で初アリーナフェス『“Circus Funk” Festival』を開催。 そのステージには今回コラボしたアーティストたちが駆けつけ、盛大なパーティー状態。2017年に広げた真っ白な新しい地図は今やこんなにも鮮やかに彩られ、これだけのNAKAMAができたのだと実感する瞬間だった。そのとき、MCで香取が「いつも過去の自分に感謝してるの」と話したのが印象的だった。新進気鋭のアーティストからレジェンドまで。自分が好きだという人たちに声をかけて、一緒に作品を作れる。そんなことができるのは、過去の自分がちゃんとやってきてくれたから、だと。そして、誰よりも彼自身が過去の自分に励まされ、そしてその財産を存分に使って新たなエンタメを見せようとしてくれているのだ、と。 12月11日には、9年ぶりに『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)に出演。生放送で新曲「Circus Funk(feat. Chevon)」を披露した。大きな背中からのニヤリとした不敵な笑み。どんなに動き回っても、決してカメラを逃さない。その一挙手一投足に、スターとしての歩みが染み付いているのがわかる。そしてこの日テレビに初出演となったChevonをリードしながらも、年齢やキャリアを超えてステージを楽しむ姿は、まさに国民的スターたる華があった。 その「Circus Funk(feat. Chevon)」は、2025年1月9日からスタートする主演ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の主題歌としてお茶の間に流れる予定だ。11年ぶりとなるフジテレビでの連続ドラマ。きっと、そこでもまた新たな出会いがあり、そして未来の香取慎吾へと繋がっていくのだろう。 香取慎吾というアイドルは、香取自身が綿密にプロデュースしているパーフェクトビジネスアイドルだ。だが、決してそれだけではない。彼と出会った多くの人が抱く「こんな香取慎吾が見たい」「こういう香取慎吾でいてほしい」という願いのようなものを背負っている。だからこそ、彼は歩みを止めずに「香取慎吾だからこそできること」を作り続けているのだろう。2025年は、さらに多くのNAKAMAとともに活躍する姿を見せてほしい。そして、そんな香取慎吾のことだ、もしかしたらもうすでに何か準備を進めているのではないかと期待をせずにはいられない。
佐藤結衣