首相会見はどう開かれているのか 誰が記者を指名? 追加質問しないの?
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相による記者会見が続いています。テレビやインターネットでご覧になった方も多いのではないでしょうか。では、首相会見には誰が参加出来ていて、誰が質問者を指名しているのでしょうか? 政府関係者や、官邸取材の経験のあるメディア関係者らに聞きました。
最初に質問する「幹事社」って?
会見を見ていると、首相が冒頭発言を行った後、質疑の初めに「幹事社から質問をどうぞ」と司会からアナウンスされる場面を目にします。この「幹事社」、多くの人にとって馴染みのない言葉ではないでしょうか。 「幹事社」とは、内閣記者会(通称:官邸記者クラブ)に所属する新聞社・テレビ局・通信社など大手報道機関の中で、取材や会見での官邸側との折衝などの窓口になる、取りまとめ役のことを指します。各社が月ごとに持ち回りで担っている役割で、各省庁や都道府県庁や各自治体の警察本部など、記者クラブがあるところには同様の制度があります。 会見冒頭の質問は「代表質問」と呼ばれ、幹事社が事前に内閣記者会に所属する各社の質問希望を集約した内容です。同記者会に出入りする新聞社の30代男性記者によると、「代表質問は、記者クラブ内に張り出されることがあり、『こんな質問でいこうと思います』と書かれていました。その時々によって変わりますが、記者会にいる人は事前に内容を分かっています」と話します。
報道室職員「何か聞くことある?」
また同記者は、「幹事社は代表質問について官邸報道室とも事前にすり合わせていました。これは幹事社に限った話ではなく、会見が開かれる前には記者会内を報道室の職員が回り、『なんか聞くことある?』と聞いていました。報道各社も、データなどを踏まえたしっかりした答えが欲しいため事前に質問内容を伝え、答弁を準備してもらうことでウィンウィンの関係にあるように感じます」と話します。 全国メディアに勤務する別の30代男性記者は「幹事社の質問は事前に各社の同意を取った上で、報道室に教えていました。報道室は想定問答を作りたいのでしょう。はっきり言って、なれ合いです」と言い切ります。