【ライブレポート】三月のパンタシアにとっての“愛”とは?まっすぐに思いを伝えた夏の夜
三月のパンタシアが本日8月24日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でワンマンライブ「三月のパンタシア SUMMER LIVE 2024『愛の不可思議』」を開催した。 【写真】みあ、オーディエンスにまっすぐに愛を伝える 三月のパンタシアは5thアルバム「愛の不可思議」を8月21日にリリースした。みあ(Vo)が本作で掲げたテーマは“愛”。みあは愛について考えを巡らせ、愛が人にもたらす光と影をさまざまな側面から描き切っている。アルバムを携えた今回のライブでも、みあは愛が持つ温かさから切なさまで表現豊かに描写。歌を通してさまざまな愛の物語を紡ぎ上げた。 ■ 相思相愛の物語と、片思いの切なさ 大きな拍手に迎えられて堀江晶太(G)、Saku(G)、Kei Nakamura(B)、裕木レオン(Dr)、金井央希(Key)、みあがステージに登場。そして「今日はさ、君と話してみたいことがあるんだけど、もう気付いてる? そう、愛について」というみあの朗読が始まった。「愛する気持ちというと、どんな思いを想像するかな? パッと思い浮かぶのは、なんだか明るくて、尊くて、光に満ちたような、そんな感情じゃない? 例えば心をキュンとときめかせる、多幸感あふれる相思相愛」という言葉を経て、披露されたのは温かな愛に満ちたナンバー「たべてあげる」。みあはたおやかな歌声を届けると、大切な人を愛おしむ楽曲「幸福なわがまま」、そのアフターストーリーを描く「あのね。」を続けて披露する。「僕らの幸福論」ではドラマチックなサウンドに乗せて、みあの切なくも優しい歌声が響き渡った。 「相思相愛って本当に奇跡だよね。そう思わない? だってさ、きっと世の中のほとんどは自分の気持ちをうまく表現できなくて、ジタバタしたり、あるいは胸の中にポッと小さく灯る初めての感情に困惑して、1人でもがいたり」とみあは話し、「でもさ、そうやって愛の予感にそわそわして、単純明快な2文字の気持ちを持て余しちゃう。そんな甘酸っぱい片思いの季節も、切ないけど素敵だよね」と言葉を続けた。その後みあは片思いの切なさにあふれた「サイレン」や「いつか天使になって あるいは青い鳥になって アダムとイブになって ありえないなら」といった楽曲を歌唱。さらにシリアスでエッジの効いたロックナンバー「四角運命」で恋心から生まれた激情を表現したあと、代表曲の1つ「青春なんていらないわ」を軽やかに届けた。 ■ さまざまな愛情と、歪んだ恋心 「相思相愛や片思いについて話してきたけど、恋愛だけが愛じゃない。例えば、恋慕う気持ちとは違う、友人、恩人、家族に対する感情の中にも愛は確かに存在するよね」と述べたみあ。彼女は「1人だと不安になって目指せなかった場所にも、君となら行ける気がしてしまう。あきらめたくなるとき、いつも背中を押してくれるのは、光をくれるのは、君がくれた愛なんだよ」と話し、ポエトリーリーディング調の楽曲「薄明」で感情のままに言葉を紡いだ。「春嵐」がさわやかに歌われたあと、友情をテーマにしたポップなナンバー「醒めないで、青春」ではフロアにタオル回しの光景が広がる。「ゴールデンレイ」では印象的な8分の6拍子のリズムに合わせて、澄み渡るような歌声が光のように場内に広がった。 「愛はときに人の心に仄暗い影を落とす」とみあは述べ、「美しくて、気高いだけじゃない。人の人格すらも揺るがしてしまう」と愛が人の心を歪ませてしまうことに言及。ダークな熱情が込められた「スノーノワール」を歌い上げたあと、呪いをかけられたように1人を思い続ける楽曲「あいらぶゆー」、愛で人を支配しようとする歪な感情を描いた「完璧彼女」といった最新アルバムの収録曲を披露した。続けて歌われたのは“依存心”をテーマした楽曲「ビタースイート」。ジャジーなサウンドに乗せて、みあは憂いのある歌声で悲痛な恋情を表現した。 ■ 飾らない言葉で伝えた思い 「ここまでさまざまな愛の形を紡いできましたが、楽しんでもらえていますか?」とみあは問いかけ、歓声を受け取ると「みんなの愛もたくさんステージに届いてます。ありがとうございます」と感謝の思いを述べた。そしてみあは「なんで今、愛についてのアルバムを制作したのかというと、『愛してる』という言葉って、例えば映画や小説なんかでは聞き馴染みのある響きなのかなと思うんだけど、実際に私自身、使ったことがないよなと思って。だって、照れくさいじゃん」とアルバムについて触れ、「そんな照れくさい言葉を現実世界で使うのっていったいどんなときなんだろうと思って。じゃあたった今私の人生という物語において、私自身が愛を伝えたい人ってどういう人なんだろうとか、そもそも自分の中に愛は存在するのだろうかとか、愛というものは自分をどういうふうに形作ってるんだろうとか、改めて自分と向き合って考えてみたいと思ったのが、アルバム『愛の不可思議』を制作したきっかけでした」と愛というテーマに至った経緯を明かした。「ここからは、私の物語について歌ってみてもいいですか?」とみあが告げ、歌い始めたのはライブの光景を思い浮かべながらバンドメンバーと一緒に作り上げた「ノンフィクション」。みあは自身にとっての愛をまっすぐにフロアに向かって放ったあと、「ランデヴー」では三月のパンタシアとファンの温かな物語をオーディエンスとともに歌い上げた。マーチングを彷彿とさせる音でスタートしたのは「March」。力強く前へと進んでいく思いを歌い、みあは「私はここまでめいいっぱいの愛を歌ってきたけど、それが本当にうれしくて、楽しい気持ちになって。こんな気持ちになれるのって、私と同じくらい、もしくはそれ以上の愛をみんなが返してくれるからなんだなと、今心の底から実感しています。いつもありがとう」と観客に思いを伝えた。「今日は三月のパンタシアの愛の物語を受け取りに来てくれてありがとうございます。そして私の人生になってくれて、本当にありがとう」とみあは述べ、最新アルバムのラストナンバー「愛の不可思議」を歌唱。「照れくさがってないで はじめてちゃんと言うね 『君のことを、愛しています』」というストレートなフレーズで彼女は愛の物語を締めくくった。 アンコールを求める拍手に呼ばれてステージに登場したみあは、熱いコールを浴びながら初期ナンバー「シークレットハート」を歌唱。最後に「私の愛がどこに向かっているのかを、今日改めて実感することができた最高の夏の夜になりました。私の幸せのありかはここにあります」とみあが述べ、披露したのは「幸せのありか」。温かな愛情で会場を満たし、みあはマイクを通さずに「愛してます!」と観客に伝えてステージをあとにした。 なお三月のパンタシアは2025年3月29日に東京・Spotify O-EASTで自主企画イベント「三月春のパン(タシア)祭り 2025 -リベンジの春-」を行うことも発表した。「三月春のパン(タシア)祭り」は当初2020年3月29日に行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて公演中止に。5年越しに開催される本公演には、当時出演予定だったSouとナナヲアカリが登場する。三月のパンタシアのオフィシャルファンクラブで、は9月8日までチケットの先行予約を受け付けている。 ■ セットリスト □ 三月のパンタシア「三月のパンタシア SUMMER LIVE 2024『愛の不可思議』」2024年8月24日 Zepp Shinjuku(TOKYO) 01. たべてあげる 02. 幸福なわがまま 03. あのね。 04. 僕らの幸福論 05. サイレン 06. いつか天使になって あるいは青い鳥になって アダムとイブになって ありえないなら 07. 四角運命 08. 青春なんていらないわ 09. 薄明 10. 春嵐 11. 醒めないで、青春 12. ゴールデンレイ 13. スノーノワール 14. あいらぶゆー 15. 完璧彼女 16. ビタースイート 17. ノンフィクション 18. ランデヴー 19. March 20. 愛の不可思議 <アンコール> 21. シークレットハート 22. 幸せのありか ■ ライブ情報 □ 三月春のパン(タシア)祭り 2025 -リベンジの春- 2025年3月29日(土)東京都 Spotify O-EAST <出演者> Sou / ナナヲアカリ / 三月のパンタシア