カルロス・ゴーンの「年収16億円」が許せない…!日本の政治家が落ちる「少子化の罠」
高額報酬と生産性はリンクしているのか
とはいえ、ここまで経営者の年収が高額になると批判があるのは当然だろう。 カルロス・ゴーンは、閉鎖された工場で働いていた労働者、その周りの商店街、取引を切られたサプライヤー、子会社の役員になれると思っていた古参社員の損失を利益に変えただけではないかという見方もできる。 株や不動産の売却益は過去の利益をキャッシュにしただけでゴーンが生み出した利益ではない。すなわち、生産性の高さではなくて、社長の権力で弱い立場の人の所得を奪っただけで、社会全体の生産性は大して上がっていないという反論もあるだろう。 そして、ゴーン・マジックは2007年までしか続かず(もちろん、2008年のリーマンショックのせいでもある)、2018年11月に有価証券報告書の虚偽記載で逮捕されてしまった。 日本やアメリカ、EUの政治家や官僚たちは、経営者の巨額報酬を不快に思っているだろうが、自分たちが行った補助金政策が強欲な経営者に利益をもたらしていることを認識すべきだ。 しかし、少子化を乗り切るためには、巨額報酬自体ではなく、その報酬が生産性をあげた代価と言えるかと問うことが必要だ。 そしてなにより問題なのは、平均よりも高学歴の日本の政治家や官僚たちが生産性を上げているとは思えないことだ。
「無駄な仕事」が増えていく
特に日本の政治家や官僚たちの生産性は、まったく高くない。 たとえば、日本の減税は、非生産性を絵に描いたやり方で行われる。それが6月からはじまった「定額減税」である。 これが、複雑すぎて会社の会計担当者や税理士たちの時間を無駄に使っている。 普通の会計士や税理士に、「一定額の減税をしたいのだが、税金を払っていない人には減税できない。国民全員に定額減税をするためにはどうしたら良いか」と聞いたら、「全員に一定額を給付すればよい」と答えるだろう。それこそ合理的にして、生産性のあがる方法だ。 ところが、平均より学歴の高い政治家や官僚たちはどうしても減税という形を取りたいようで、訳の分からぬ手間入りの制度となり、地方公務員の仕事も、民間の会計担当者の仕事も増えた。 これが官僚の責任か政治家の責任かは知らないが、ともかく彼らが日本全体の生産性を下げたことは間違いない。