バスケットボール・正中岳城さん|生粋のキャプテンキャラが企業人として成長中<前編>
嘱託社員ではなく、正社員としてトヨタ自動車に入社
――正中さんの同期は、双子の兄の竹内公輔選手(宇都宮ブレックス)、弟の譲次選手(大阪エヴェッサ)を筆頭に、現在でも現役を続ける太田敦也選手(三遠ネオフェニックス)、菊地祥平選手(アルバルク東京)、岡田優介(香川ファイブアローズ)といった日本バスケ界を牽引した選手が多く排出したことで、「黄金世代」と呼ばれていました。ご自身はどのように感じていましたか? 正中 確かに彼らと同じ1984年生まれですが、そこに名前を連ねている感覚はありません。どちらかと言えば後から乗っかったみたいな感じだと思います(笑)。 ――黄金世代の選手は東海大学に集まっていましたが、青山学院大も負けてはいませんでした。 正中 自分たちの代は勝てなかったのですが、1つ上と下の代は関東リーグに優勝できました。黄金世代の一員というよりは、大学のチームで対抗していたし、そこで揉まれたことはその後のバスケ人生だけでなく、社会に出たときにも役立ったと思います。特に1学年上の先輩たちが当時のトップであるJBL(日本バスケットボールリーグ)のチームに入ったことも刺激になりました。 ――正中さんは4年を終えるとトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)に入団します。当時のアルバルクはアマチュアに分類されましたが、選手は一般社員と同じように社業を行うのではなく、バスケットボールを専門とする嘱託社員がほとんどでした。しかし、正中さんは正社員として入社されたとか。 正中 トヨタ自動車という企業の中で、バスケの他、野球やラグビー、長距離陸上や女子ソフトボールなど、多くの強化運動部があり、アスリート社員が職場に配属されて活躍しています。会社を代表して競技で戦う社員選手を従業員が応援することで、職場の一体感を醸成し、あきらめずに戦う「ネバーギブアップ」の精神やチームワークを意識するなど、スポーツは本業に共通する要素を多用に含んだ、重要な役割を果たすものであると認識されていました。 だからこそ、僕は正社員として入社し、チームに所属することで役割を果たしたいと思って、正社員選手を選びました。一緒に入団した岡田(優介)は大学時代から公認会計士になろうと準備を始めていました。明確なキャリア設計の話も聞いていたので、自分としてコミットするものを見つけたいと思ってもいました。もちろんバスケという競技は頑張るのですが、岡田とは違うアプローチで、企業人の一人として競技に向き合い、企業スポーツに関わる人間となって企業に貢献することを軸にしたいと決めたのです。 ――やはり競技から引退した際のセカンドキャリアも頭に入っていましたか? 正中 引退後のことまでは考えていませんでした。それでも、会社のキャリアのうちの一部をバスケットボールに向き合う時間に、引退後はその部署に配属されたら、そこで自分が何をするべきかを作るという感覚は持っていました。 (後編に続く) ※後編は11月26日更新予定 【正中岳城プロフィール】 トヨタアルバルク東京株式会社 アルバルク事業部副部長 小学校5年生から本格的にバスケットボールを始め、県立明石高校から青山学院大学に進み、トヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)に入団。社員選手、アマチュア選手として2020年の引退までキャリアを全うした。現役引退後はトヨタ自動車に復職。渉外広報本部に配属され、企業情報のリリース発信や広報対応などの業務を担当。さらに24年9月よりアルバルク東京に再度出向し、アルバルク事業部副部長として、クラブ運営全般を勉強中。
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