外国人も暮らしやすく 日本のマナーを地域で伝授 福島県の郡山、郡山北署など雇用者等連絡協
外国人が安全・安心で暮らしやすい社会の実現を地域一丸となって目指す組織が福島県郡山市に誕生する。郡山、郡山北の両署や、郡山商工会議所、郡山地区商工会広域協議会で組織する。署員が交通ルールを指導する他、外国人が加害者や被害者となった事件を踏まえた防犯教室などを通じ、犯罪やトラブルの未然防止に努める。関係者は「地域住民や外国人が安心して暮らせる社会につながる」と期待を寄せる。 組織は「郡山地区外国人雇用者等連絡協議会」で20日に発足する。外国人を雇用中または雇用予定がある市内の事業所、外国人の学生が通う教育機関などで構成する。会員には管内で発生した事件・事故の傾向や全国の外国人に関する事件の情報などを提供する。会員企業の依頼を受け、警察署か会員事業所などで講習会や交通教室などを開く。郡山署によると、17日時点で両署合わせて60社以上が入会を希望している。 両署による支援の流れは【図】の通り。日本での生活経験が少ない外国人は文化やモラルの違いによる騒音や交通違反などのトラブルが起きやすい。署員は母国とは異なる文化や習慣を踏まえて生活指導する。自転車の2人乗りなど交通違反も多い傾向にあり、横断歩道の渡り方、信号の見方、運転免許証の取得方法などを教える。防犯教室では、不法就労や大人数による犯罪的組織など外国人に関連する事件や詐欺の手口などを紹介し、巻き込まれないよう注意を呼びかける。外国語を話すことができる署員を通訳として県内各署から集める。
県国際交流協会は外国人が勤務する企業の依頼を受け、家の戸締まりや自転車の施錠、事件に遭遇した時の通報の仕方、ごみ出しのルールなどを教えている。連絡協議会は全国の犯罪事例などを踏まえ、被害に遭わないための注意点や細かい交通規則など、より具体的な内容を提供する。 県人口は減少している一方、仕事や留学などを理由に県内で生活する外国人は増えている。県内の在住者は2023(令和5)年12月末時点で過去最高の1万7783人。郡山市は2024年3月末時点で初めて居住者3千人を超え、9月1日時点で3518人に上る。郡山市が県内最多。 会員登録するISO事業協同組合(本社・郡山市)は、外国人技能実習生の受け入れ支援を行っている。坂井純代表理事は「外国人が自国と日本の文化の違いを知るいい機会になる。日本のマナーやルールを学び、徹底すれば外国人も住民も安心して暮らせるのではないか」と期待する。 郡山署の馬場孝二署長は「多国籍者の共生による治安低下を防ぎ、地域住民と外国人の双方にとって良いまちづくりをしたい」と使命感を燃やしている。
両署は会員を募集している。問い合わせは郡山署、郡山北署へ。