謎のステルス増税「森林税」がやっぱり道理に合わない理由
なぜ「教育税」はないの?
例えば、あなたが知り合いからお米券をもらったとしよう。それを使ってお米の消費量を増やしますか? 変わらないのではないかと、(あなたの食生活を全く知らない)僕は推測する。「いちほまれ」など、少し高めなお米を買うかもしれないけど、お米券を使ったおかげで浮いたお金を衣類、貯金、娯楽などに費やす可能性もある。そこで米米CLUBのコンサートに使ったら妥当な気がするけど。 政府のお金の使い方も一緒。その有名な例が宝くじだ。アメリカでは「利益は公立学校の資金になる!」という触れ込みで法改正をして宝くじの販売を始めることが多い。もちろん、利益の一部は学校に回されるが、結局その分、州の教育予算が減らされるだけで、学校に入る合計の金額は増えないケースが相次いでいる。まあ、浮いたお金で米米CLUBを学園祭に呼ぶんだったら許そう。 ■森林税が必要なら、「防衛税」はどう? そういえば日本でも教育は大事だし、学校にもお金が必要だ。森林税があるなら、なぜ「教育税」はないのかな? 「保育税」もないし。もっとストレートに「海洋税」もあってしかるべきではないか? もちろん公共事業はほかにも沢山ある。森林環境税が必須だったら、道路税、消防税、警察税、健康税、議会税などなども必要と思われるね。その中でも、最近一番予算が増えているのは防衛費だね。なぜ「防衛税」を作らないのか? それは多くの国民が反対するはずだからだ。しかし、あまり反対されない森林環境税でお金を集めれば、浮いた分の公金を防衛予算に回すことができるので、防衛税と言わなくても結果は一緒。そういえば、防衛省は前からレーダー探知を免れる戦闘機を欲しがっていたね。ということは、ステルス税はステルス機に使われるかも?! ○○税という名前に惑わされないで、国民はこの件も含めて、全ての税の取り方や使い方を常に検証し、精査してほしい。公平性、妥当性、有効性、必要性が納得できていればどの税も反対されないだろう。むしろ、好きな税はと聞かれたら、全部だぜい! と答えるかもね。 パックン(パトリック・ハーラン) 1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。
パックン(コラムニスト、タレント)