【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】本当に90歳現役の草笛光子さんが愛子を演じたことで勝ち! 『九十歳。何がめでたい』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『九十歳。何がめでたい』『ザ・ウォッチャーズ』
全世代にフィットするし、観た人の生活に直結する話ばかりなんです
今回は公開が始まったばかりの2作品、日本とハリウッドからチョイスしました。まずは日本。『九十歳。何がめでたい』です。 断筆宣言をした作家の愛子、90歳。娘の響子や孫と同じ家で暮らしているものの、日がな1日新聞やテレビをボーっとながめる空虚な生活を送っていました。 一方、ハラスメント問題で謹慎処分になった大手出版社の編集者・吉川が所属している編集部で、愛子の連載企画が急浮上。これぞチャンスと、吉川が愛子を口説き落とし、晴れてふたりは現役復帰!? 同名ベストセラーエッセイを、『老後の資金がありません!』をヒットさせた前田哲監督が映画化したコメディです。 なんといっても、本当に90歳現役の草笛光子さんが愛子を演じたことで勝ち! 原作の佐藤愛子さんもお元気なんですが(なんと今年101歳になられます)、草笛さんも佐藤さんも、そして劇中の愛子さんにも共通点があります。それは「口が達者な人はいつまでも元気」ってこと。 それを老害と捉える人もいるかもしれませんが、ちょっと待って。みんな平等に歳は重ねるし、重ね方も人それぞれ。ひとまとめに「年寄りの言うことは」と決めつけないで。だって、確実に経験値が高い人たちですよ。 それにこの作品、90歳の愛子の言葉だけでなく、唐沢寿明さんが演じている50代サラリーマンの吉川の置かれている状況も加わって、全世代にフィットするし、観た人の生活に直結する話ばかりなんです。 実はこの作品、ご縁あって出演しています。愛子さんの髪をずっと担当している美容師役なんですが、まさか草笛さんの髪を手にすることができるなんて……。劇中で出てくるトリートメントとセットは本当に私がやってるんですよ(笑)。 このきっかけは、草笛さんと前田哲監督。草笛さんのお宅に伺ったときに、ちょうど監督もいらしてこの作品の話になったんです。ただ、そのとき前田監督は『ロストケア』の後だったから、あんなシリアスなものだったら……と不安だった私に、草笛さんも監督も「コメディだから!」とプッシュしてくださって、出演が実現しました。 90代のモデルケースといえる草笛さんの美しさと、「素では?」と思えるほどのお芝居、誰にでも刺さるストーリー、そしてひと目観ただけでは分からない私(笑)。スクリーンでお楽しみください。