【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】本当に90歳現役の草笛光子さんが愛子を演じたことで勝ち! 『九十歳。何がめでたい』
この物語を理解するヒントは“妖精”
さて、もう1作は『ザ・ウォッチャーズ』。M・ナイト・シャマランがプロデュース、彼の娘イシャナ・ナイト・シャマランが初脚本&監督したスリラーです。 孤独なアーティストのミナは、鳥を入れた鳥かごを指定の場所に届けなければならず、森に迷い込みます。しかも、スマホやカーラジオが壊れ、車も動かなくなり、車から出てさまよったあげく戻ってみたら車まで消えてしまうという状況に恐怖におののく彼女。 そんな彼女の前に現れたのはガラス張りの部屋。そこに避難すると、60代のマデリン、20代のシアラ、19歳のダニエルの3人がいました。彼らはそこを監視する何者かに怯えており、3つのルールを守っています。ドアは決して開けない、常に光のあるところに、監視者に背を向けるな……。この3人とルール、監視者、それにこの部屋。一体何が起きているのか。 シャマランの作品には当たり外れがある、と思っていますが、これは当たり。彼の監督作ではなく、娘イシャナの監督・脚本作ですから、別物と考えなければいけないかもしれませんね。とはいえ、彼のプロデュース作だけに、彼の作品の独特なタッチが貫かれています。 シャマラン映画につきものの“ネタバレ厳禁”があるので、多くを説明することはできません。が、この物語を理解するヒントをひとつ。これが出てくるとは言いませんが、ヨーロッパにおける“妖精”です。 日本だと幽霊や妖怪を怖がりますよね? それと同じような感じで、ヨーロッパでは昔から妖精が信じられていて、いい妖精も悪い妖精もいるという考えがあります。これを頭に入れておくと、この映画を観た後、すごく怖くなるんですよ。あー、言いたい! けど、ガマン。 父シャマランの映画のようにいくつかのどんでん返しがありますし、エンディングはなんとほっこり!? 登場キャラの気持ちになって観ていただけると、この怖さも温かさも分かっていただけると思います。 (C)2024『九十歳。何がめでたい』製作委員会 (C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED 取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己 『九十歳。何がめでたい』 上映中 『ザ・ウォッチャーズ』 上映中 ■LiLiCoプロフィール 1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。