カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ
毎年恒例の広島の秋季キャンプが11月4日から宮崎県日南市ではじまる。暖かい日差しが降り注ぐ気候と、グラウンドで汗を流す若手選手の姿──。例年とそれほど変わらぬ光景だが、いつも以上に熱を帯びる競争となることが期待される。 【貴重写真】白スーツの衣笠、打席でエグい殺気の前田やノムケン、胴上げされる山本浩二、痛そうな正田、炎のストッパー津田恒美などカープ名選手のレア写真を一気に見る 9月の急失速で終えたシーズンで、戦力の底上げの必要性を痛感させられた。 秋季キャンプでは早出練習から特守の割合を減らし、特打に重点を置く方針だ。秋季キャンプを前にマツダスタジアムで行われた秋季練習でも、スイング量は増していた。午前中は守備中心で、午後はグラウンドと屋内練習場の2カ所に分かれて打ち込み。最後は参加選手が並んで行うロングティーでしめくくられ、初日から練習時間は6時間を超えた。 この秋は技術や身体だけでなく、頭も鍛える。 長いシーズン、あるいは1試合の中でも、序盤、中盤、終盤など局面によって相手バッテリーの組み立ては変わる。そこの対応力が足りなかったため、経験の浅い選手たちは自分の打撃をさせてもらえない打席も目立った。二軍での思い切りの良さで昇格しながら、一軍では打撃の質が変わってしまう選手もいた。 だからこそ、頭と心も磨かなければならない。秋季キャンプでは藤井彰人ヘッドコーチを中心に打撃コーチと選手が集まり、状況別のバッテリー心理や打席での考え方などの意見をかわす勉強会がもうけられる。11月5日に予定される侍ジャパンとの練習試合も、実戦だけでなく座学の貴重な教材となる。
伸び悩んだ中軸候補たち
さまざまなアプローチで若手の成長を促していかなければならない。今年は矢野雅哉をはじめ、石原貴規や二俣翔一といった若手が台頭したものの、中軸を担える大砲候補たちは伸び悩んだ。 新井貴浩監督は2022年オフの就任以来、若手の育成を待ちながら、現有戦力の最高値を模索して目の前の試合を戦ってきた。昨年は5年ぶりAクラスとなる2位に躍進。今年は9月初めまで首位を守った。だが一方で、143試合という長丁場のペナントレースを勝ち抜く力がなかったことを痛感させられた。計算していた経験者が振るわず、若手は空回りすることもあった。笛吹けども踊らず。 得点数は日本シリーズを戦ったDeNAのリーグ最多522点を100点以上下回る415点に終わった。チーム本塁打52本、チーム打率.238、OPS.601、282四球すべてリーグワーストだ。本塁打数52は最多103本のヤクルトの約半分。四球数はリーグトップの阪神よりも159個も少ない。 球団が調査を続ける新外国人の獲得が問題を解消してくれるかもしれないが、計算は立てられない。仮に日本球界にフィットしても、中長期的なチームビジョンでみれば、外国人選手頼みは急場しのぎに過ぎない。やはり、和製大砲の育成は喫緊の課題となる。
【関連記事】
- 【まさかの大失速】「要因は投手の疲労のみにあらず…9月4勝16敗のカープが大失速で露呈させた「積極的な野球」と表裏一体の「綻び」
- 【貴重写真】白スーツの衣笠、打席でエグい殺気の前田やノムケン、胴上げされる山本浩二、痛そうな正田、炎のストッパー津田恒美などカープ名選手のレア写真を一気に見る
- 【2024年の成長株】矢野雅哉の22球…日本新記録となった9月22日中日戦・第3打席の粘りに滲み出た、広島ドラ6遊撃手の生き様
- 「オオタニは超スペシャル」そう語ったベッツも…大谷翔平とドジャース戦友の“世界一幸せな関係”「エンジョイしよう」最強チームの舞台裏
- 「オオタニは物語のようだ」世界一ドジャースの“批判された監督”ロバーツ52歳の素顔「通算243盗塁にガン克服」大谷翔平との信頼構築法は?