【闇バイト強盗】警戒決して怠れない(10月19日)
交流サイト(SNS)を使った「闇バイト」によるとみられる強盗事件が首都圏で相次いでいる。青木一彦官房副長官は17日の記者会見で、「国民に大きな不安を与えている」として、個人情報を見知らぬ他人に教えないよう注意を促した。同様の犯行は後を絶たず、広域化する傾向にある。県内でも未然防止に万全を期し、日常生活での防犯意識を改めて高めたい。 関東1都3県で8月以降、少なくとも7件の強盗事件が発生し、現金や腕時計を奪った疑いで20人以上が逮捕された。8日から17日にかけ、千葉、神奈川両県で計4件の類似事件も起きている。 事前に高齢者宅などに電話し、在宅状況や資産などを問い合わせるなどの手口が共通している。合同捜査本部は、面識のない者を事件ごとにSNSで集め、アプリで指示を出す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」が関与しているとみている。 これまで事件など一度も起きていない、といった現場周辺の声を踏まえれば、犯罪の危険は身の回りに潜んでいると捉えるべきだろう。一人一人が日頃の自衛を心がけねばならない。
県内では昨年2月、南相馬市の民家で強盗事件が発生している。犯行に関わった疑いで9人が逮捕されたが、首謀者にはたどり着いておらず、いまだ全容は分かっていない。匿流捜査の難しさが浮かぶ。今年5月には南会津の民家に複数の男が押し入り、1人暮らしの女性の手首を縛り、現金を奪って逃走した。 本県は、隣接する首都圏から犯罪が流入しやすい地理的条件にある。広域化する事件に対応するため、県警は「自動車警ら隊」を新設する方針を打ち出した。所轄をまたぎ、県内全域をパトロールするなどして初動体制を手厚くする狙いがある。早期の始動を目指してほしい。 闇バイトを巡っては、高額報酬に釣られて実行役となる若者が少なくない。「荷物の運搬」「ホワイト案件」などの名目で募集し、集合場所で脅して犯行に引き込む。実際には報酬を受け取れない例が大半とされる。好条件と映る誘いに安易に乗らず、募集元を確認してから行動するなど、犯罪に巻き込まれないための啓発にも一段と力を注ぐ必要がある。(渡部純)