『海に眠るダイヤモンド』における池田エライザの重要性 変化していく立ち位置と表情
池田エライザはトリッキーな役どころもハマる
この2024年は、主演を務めた『舟を編む ~私、辞書つくります~』(2024年/NHK BSプレミアム)での好演も強く印象に残っているが、やはり一番は、社会現象を巻き起こしたNetflixシリーズ『地面師たち』で演じた刑事役だろうか。池田は地に足のついた一般的な人物を自然体で演じられるいっぽう、トリッキーな役どころも抜群に上手い。近年の出演作でいえば、『真夜中乙女戦争』(2022年)で演じたヒロインがこれにあたるだろう。 では、『海に眠るダイヤモンド』のリナは、これからどちらに転ぶのだろうか。進平と、彼との間にできた子どもと幸福な日々を過ごしていたかに思えたが、もう進平はこの世にいない。さらに、なんと鉄平とともに端島を去ったのだという。周囲の人々からしたら、“駆け落ち”である。そのあたりの行動の理由が最終回で明かされるはずで、この思い切った行動に出たリナの心情も描かれるはず。それ相応の動機がなければ、誰も納得しないだろう。果たしてそこにリナのどのような心の動きがあったのか。これが描かれるはずである。 思えばリナはいつだって自分の感情をぐっと押さえ込んできた。本作において池田エライザがもっとも大きく変化するのは、やはりここからだろう。いまだ私たちが見たことのない彼女の声や表情が収められているものになるかもしれない。
折田侑駿