ハマる人が続出…中国発「マーラータン」を日本に持ちこんだ「意外な人物」がその秘史を明かす
話題の中国グルメ「麻辣湯」
いま注目を集める中国グルメ「麻辣湯(マーラータン)」をご存じだろうか。 「1人用の火鍋」ともいえる料理で、自分で選んだ好きな具材と麺が、麻辣スープで一緒に煮込まれて、丼で提供される。『楊国福マーラータン』や『張亮麻辣湯(燙)』といった中国現地チェーン店も日本に多く進出しているなか、女性を中心に人気を集めている日本生まれのチェーン店がある。『七宝麻辣湯』(以下、チーパオ)だ。 【写真】ハマる人が続出…中国発「マーラータン」を日本に持ちこんだ「意外な人物」 綺麗で清潔感あふれる店内、スープはあっさりと洗練された唯一無二の味わいで、思わず虜になってしまうような美味しさだ。その仕掛け人こそ、ラーメン評論家としてもメディアに多く登場していた石神秀幸さんなのである。 石神さんがはじめて麻辣湯に出会ったのは、いまから20年以上前に遡る。美味しく、楽しく、身体にも良い―そんな麻辣湯に惹かれて、当時まだ多くの人がその名前を聞いたことすらなかったであろう、日本での開業を決意する。まったく新しい食文化を日本に持ち込む過程ではどのような物語があったのだろうか。
「新しいB級グルメ」だった麻辣湯
石神さんがはじめて麻辣湯を食べたのは2003年、シンガポールでのことだった。当時、麻辣湯は「新しいB級グルメ」として中国本土で爆発的に流行っていた。そして、シンガポールやマレーシアなど他のアジア圏でも徐々に広がりつつあった。現在、日本でチェーン展開をしている『楊国福マーラータン』も2003年の創業である。 「でも、日本では一軒も無い。美味しくて身体に良くて楽しい、こんな最高の食べ物は自分でお店をやるしかないな、と」 その後、中国へ渡り、上海を中心に約200店舗を食べ歩く。当時は屋台に近いような、カジュアルなお店がほとんどだった。バイクに乗ったお客さんがやってきて、具材が刺さった串をいくつか選ぶ。それを春雨と一緒にスープで茹でて、そのままビニール袋に入れて渡す、といった具合で、ファストフードとして親しまれていたのである。