塩分の摂りすぎで高血圧になる、コレステロールは悪者…は本当? 薬剤師が教える、案外知られていない血圧対策
薬も減塩もいらない 1日1分で血圧は下がる! #3
高血圧に悩み、コレステロールや塩分を摂りすぎないよう気をつけている人は多い。だからといってコレステロール対策の薬を安易に飲むことも危ない行為だという。 【画像】悪者にされてしまっているポテトチップス
人が塩分を摂ったときのメカニズムや、コレステロールの体内での働きを『薬も減塩もいらない 1日1分で血圧は下がる!』より一部抜粋して紹介する。
血圧を下げるには減塩が一番?
高血圧にならないように日常生活で気をつけていることで、多くの人が実践しているのが、「減塩」ではないでしょうか? ですが「塩分の摂りすぎで血圧が高くなる」というのは誤りであり、いまだに言っている人は新しい情報に更新していないだけです。 実際に、血圧が上昇するほどの塩分量は摂れません。考えてみてください。私たちは海水を飲もうと思っても、飲めませんよね?塩っ辛すぎて、吐き出してしまうでしょう。 このように、高濃度の塩分を摂ろうとすると、「その塩分量は体に毒だよ!」という味覚センサーが働き、脳からSTOPの指令が出ます。たとえば、ポテトチップスを1袋食べてしまったときなど、しばらくしてからすごくのどが渇いてきますよね。ちゃんと私たちは、摂りすぎた塩分濃度が下がるまで水分を摂ろうとします。 味が濃すぎるとか、甘すぎるとかといったときも同様。それは体に悪いからと、脳は指令を出して食べるのをやめさせたり、あるいは水分をたくさん摂らせて薄めさせたりしてくれるのです。 本当に人間の体はうまいことつくられていて、高血圧になってしまうほど大量の塩分は摂れないようになっています。日々、血圧のためにと塩分を減らすことは、残念ながら食事が味気なくなるだけで、意味のないことなのです。
コレステロールは本当に悪者!?
もう一つ、高血圧の犯人としてまことしやかに言われているのが「コレステロール」です。中でも悪者扱いされているのが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL。血管の内壁に溜まってプラーク(血管内壁のコブのこと)をつくり、動脈硬化を促進していると言われています。 そのため最近は、健康のためにもコレステロールを減らしましょうということが声高に叫ばれています。でも、そんな悪者のコレステロールが、実際には自分の肝臓でつくられているって知っていましたか?わざわざ自分の体でつくっているわけですから、悪者どころか重要な物質だということです。 では、コレステロールの働きをいくつかご紹介します。 ①全身の細胞ひとつひとつの細胞膜の原料です。ですから、コレステロールがなければ細胞分裂はできず、新しい細胞がつくられなくなってしまいます。 ②性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど体の重要なホルモンの材料にもなっています。 ③骨の成長には欠かせないビタミンDの原料にもなっています。 つまり、人はコレステロールがなくては生きていけないのです。 そのコレステロールは、70~80%が肝臓でつくられ、あとは外からコレステロールを含む食品を食べることで補っています。 もし大量のコレステロールを含む食事をしても、肝臓がつくるのを控えて常に同じ量になるように調整してくれます。ですから、きちんと運動をして消費されている限り、食事の摂取がコレステロール値に反映されることはありません。 塩や砂糖の摂取量もそうですが、体に害が及ぶほどたくさん摂ろうとすると、まずくて食べられなかったり、喉が渇くので水を飲んで濃度を薄めようとしたりします。そのように私たちの体はちゃんとバランスを取るためのセンサーが働いていて、何でも摂りすぎることがないよううまく調整しているのです。コレステロールも同様。食事で多く摂りすぎたときは、肝臓が分泌量を抑えて調整してくれているのです。 たしかに動脈硬化の人の血管を調べたとき、血管内壁にベッタリとコレステロールが張りついているのは事実です。でもそれは結果論で、動脈硬化になるような血管だったからコレステロールが修復しようとして集まったのではないか?そういった見解も出てきており、必ずしもコレステロールが高血圧や動脈硬化につながる、とは言い切れない部分もあるのです。