@Famille Abuelaish

ガザ地区出身の医師イゼルディン・アブラエーシュ博士を追ったドキュメンタリー映画『私は憎まない』が、2024年10月4日（金）から、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開されている（配給：ユナイテッドピープル）。 【全画像をみる】ノーベル平和賞候補に5度選出。ガザ地区出身医師が語る、日本の私たちへのメッセージ イスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃し、多数の一般市民を殺害・拉致したことに端を発した戦争は、2024年10月7日で開始から1年が経過した。 テルアビブ大学付属国家安全保障研究所（INSS）の発表によると、イスラエル側の死者は1500人以上で負傷者は約1万9000人。ガザ地区での死者は約4万人、負傷者は9万人以上にのぼり、戦闘はいまだ終息の気配を見せていない。 2009年、イスラエル軍の砲撃により3人の娘を亡くしたアブラエーシュ博士は、「憎しみで戦争や虐殺は解決しない」と、憎しみの連鎖を断ち切ることこそが真の平和への道だと訴え続ける。

イスラエルとパレスチナ双方の架け橋を目指し活動

初めてイスラエルの病院に勤務したパレスチナ人としても知られており、産婦人科医として国を越え多くの出産現場に携わってきたアブラエーシュ博士。 生まれてくる命はみな等しい存在であるように、パレスチナとイスラエルも分断ではなく共存の道を歩むべきだと考え、平和の架け橋になろうと長きにわたって奮闘してきた。 映画『私は憎まない』の作中には、イスラエル軍の砲撃で3人の娘を失った直後のアブラエーシュ博士の電話越しの肉声を、イスラエルのテレビ局が生放送したシーンが収められている。 その緊迫した空気やあまりに悲痛な叫びは、画面の向こう側で起こった出来事であることを観る者に忘れさせるほど生々しい。 「私が失った3人の娘たちがそれぞれ尊い存在であったように、多くのパレスチナの犠牲者をただの数字としてとらえず、一人の人間であったことを忘れないでほしい」（アブラエーシュ博士） 「彼女たちが最後の犠牲者であったならば、その死を受け入れようと思った」と語るアブラエーシュ博士。 現状を平和へと転換させるためには、「復讐心で心を満たすのではなく、平和や人権が守られる世界の実現を目指して声を上げ続けることこそが自らの使命」と決意を語る。 そして、ガザ地区を実行支配するイスラム組織・ハマスがイスラエルへの攻撃を行った2023年10月7日で1年を迎えたことについては、「あくまで占領の歴史が世界に対して表面化した日」としながらも「国際社会を変える大きな機会となってほしい」と訴える。