トップランク社のデュボーフ副社長「井上尚弥はアメリカで戦う必要はない。すでに世界のトレンド」論争に一石
米メディアの「ボクシングシーン」は22日(日本時間23日)、米興行大手トップランク社のトッド・デュボーフ副社長のコメントを掲載した。同社がプロモートする世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥について「わがままを言うと、私は(井上を)アメリカに迎えたいと思っています。しかし、彼は自分を非常にサポートしてくれる市場にいます。彼はアメリカに行く必要はない」と断言した。 これは、元世界ウェルター級王者2団体王者のショーン・ポーターが「ボクシング界で、世界最高のスターになりたいならこっち(米国)での試合が必要だ」と発言。そして、「ボクシングでは海を渡り、アメリカに来て、アメリカ人を倒して、ファンに注目してもらわなければならないんだ」とコメントしたことに対して反論した形だ。 デュボーフ氏はさらに、「井上はおそらく彼(ポーター氏)がこれまで見てきた中で最も偉大なファイターであるだけでなく、すでにアイコンである」と続けた。「彼は天才だ。私たちは彼をホーム(日本)から離れる道に連れて行かなければなりませんか? 彼は他の国にアピールするために旅に出る必要があるのだろうか?」と日本を出て試合をするメリットがあまりないと主張した。 理由として、デュボーフ氏は「マニーの場合、フィリピンは財源豊富な経済とはいえませんでした。日本は経済が完全に発展しており、大きなスタジアムや大きなメディアプラットフォームがある」と説明。元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)は母国の市場の関係で米国で試合をする必要があったが、井上が試合をしている日本が市場としてすでに巨大であるとした。さらに「大谷(翔平)はメジャーリーグに行かなければならなかった。なぜなら、そこが野球をするのに最も充実した、最も適した場所だったからです。日本には彼が野球選手としてこれまで以上に成長するのに最適な場所がなかったのではないでしょうか。だから彼は米国に行かなければならなかった」。逆に「井上は、彼はボクシングをするのに日本でも、米国で行うこともできる。ウェンブリー(英国ロンドンのスタジアム)に行ってもできるだろう」と他の国で試合をしても成功するとしている。 「ボクシングシーン」は5月6日にルイス・ネリ(メキシコ)と戦う東京ドーム興行で、日本での興行はさらに軌道に乗っていく可能性が高いとも指摘。デュボーフ氏は「現在、世界は非常にフラットになり、つながっています。井上が試合をすると、その瞬間にトレンド1位として、すべての(SNSの)プラットフォームで世界的なトレンドになります。だから、彼がスーパースターになるために米国で戦わなければならない、と考えるのは少し利己的だと思います。私は彼を米国から愛したいと思っています」と米国にいても井上のすごさを感じ、楽しめるとしている。
報知新聞社