古巣鹿島のACL優勝に触発された柴崎岳が森保Jに求めるモノ
もしかすると聞かれるのを待っていたのかもしれない。日本サッカー協会の広報担当が「そろそろ」と、取材エリアにおけるMF柴崎岳(ヘタフェ)への質疑応答の終了を促しかけたときだった。 いまも愛してやまない鹿島アントラーズが、ACLを初めて制覇した。その古巣への感想を求められた26歳は「じゃあ、ひと言だけ」と断りを入れたうえで言葉を紡ぎ始めた。 「鹿島にとって、鹿島のファンにとっても、長年取れていない悲願のタイトルだったので僕も非常に嬉しく感じました。昌子や土居の同期には祝福の連絡を入れましたけど、非常に喜んでいる様子でした」 16日に行われるベネズエラ代表とのキリンチャレンジカップ2018(大分スポーツ公園総合競技場)へ向けて、12日から大分市内でスタートした日本代表合宿。あいにくの霧雨が降りしきるなかで、ランニングを中心とした約1時間の軽めのメニューを終えた直後のひとコマだ。 ともに2011シーズンにアントラーズへ加入した同学年の盟友、DF昌子源とMF土居聖真にスペインから連絡を入れたことを明かした柴崎の口調がどんどん弾む。饒舌ではない男が見せる珍しい姿。必然的にひと言どころではなく、1分以上もの時間がアジア制覇への祝福へあてられた。 「僕が在籍した当時の先輩でいまも残っている方もいますし、OBを含めて、今まで鹿島に携わってきた方々が積み重ねてきたものを含めての、今回の優勝だったんじゃないかと個人的にはすごく感じています。鹿島という偉大なクラブの大きさというものも、あらためて確認することができました。また新たなステップに進んでいけるんじゃないかな、と感じています」 前身のアジアクラブ選手権時代から数えて、今回のACLは実に11度目の挑戦だった。これまでの最高位は4度の準々決勝進出。国内では通算19個ものタイトルを獲得した常勝軍団なのに、アジアでは勝てないと何度も揶揄された。クラブの歴史に刻まれた悔しさのなかには、柴崎自身のそれも含まれている。 青森山田高校から加入して5年目の2015シーズン。中盤に絶対的な居場所を築き、満を持して臨んだグループリーグでウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)、FCソウル(韓国)、そして広州恒大(中国)にいきなり3連敗。最下位で大会を去った屈辱を忘れていないからこそ、スペインの地で心を震わせた。