5月の飲食料品値上げは417品目 「原材料高」が再燃 「円安」値上げ、秋以降広がる可能性
急速に進む「円安」が懸念材料、値上げ圧力は高止まり続く
物価の高止まりを既定路線として捉える見方が消費者の間で広がっている。日本銀行の調査では、1年後と5年後の物価が「上がる」と回答した人の割合が、それぞれ昨年12月時点から増加した。ただ、物価上昇に対し実質賃金の伸びが追い付かないことを背景に、店頭では安値攻勢が目立つプライベートブランド(PB)製品で購買量が伸長するなど節約志向は根強い。量販店やコンビニなどでは一部製品を値下げする動きもあるなか、前年に比べてNB品を中心に大幅な価格の引き上げが難しい局面を迎えている。 一方で、「原材料高」に起因した値上げが足元で再燃している。カカオ豆やノリ、オリーブオイルでは関連する食品群で値上げを余儀なくされたケースが目立ってきた。食品値上げの抑制に貢献してきた小麦価格の据え置きも、7月以降、製粉各社で強力粉以外の製品が値上げとなることから、菓子や麺製品などの分野で値上げの動きが強まる可能性がある。また、34年ぶりの安値で推移する円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、原材料を海外からの輸入に頼る企業では一層のコスト増が見込まれる。賃上げによる人件費や、物流費でもコストアップが続いており、飲食料品への値上げ圧力は今後も相当に高まることが予想される。 2024年後半の値上げは、店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、当面は月平均1千品目前後、年間で最大1.5万品目の値上げペースで推移すると予想される。ただ、1ドル150円台後半の円安水準が長期化、または円安が一段と進行した場合、今秋にも円安を反映した値上げラッシュの発生が想定され、当初予想の品目数から上振れする可能性がある。