純正オーディオが自慢のクルマはスピーカーの数も自慢げに書くけどなんで? スピーカーが多ければ多いほどいいのか元プロミュージシャンの自動車ジャーナリストが解説!
純正ハイエンドプレミアムサウンドシステム装着車がお手軽
純正カーオーディオでも、かつてのホンダN-BOXのアメリカンカスタム的モデル、N-BOXスラッシュには、8スピーカー+FOSTEX社製バックロードホーン式スーパーウーファー、それを駆動する出力360Wのアンプを備えたサウンドマッピングシステムが用意されていたし、マツダ3には標準装備で8スピーカー&DSPアンプ搭載のマツダ・ハーモニック・アコースティックスシステムが搭載されていたりする。 マツダの場合、これまでしょぼい音といわれてきた純正オーディオのレベルを大幅にアップし、純正のままでいい音を楽しんでほしいという願いが込められた、純正オーディオらしからぬ音のよさを追求したシステムとなっている。また、トヨタ・アルファードのエグゼクティブラウンジにはJBLプレミアムサウンドシステムが搭載され、15スピーカー、12chオーディオアンプが奢られている。 ちなみに筆者が知る限り、もっとも多くのスピーカーを積んでいたクルマはアウディQ7ベースのアウディサウンドコンセプトというコンセプトカーで、なんとドイツの劇場の音場をモチーフとして62個ものスピーカー(ミッドレンジスピーカー×52、ツイーター×5、ウーハー×5個)を備えていたのだから驚きだ。 最新のアウディA8の市販車にはBang&Olfsenのスピーカーが23個搭載され、アルミニウム製のスピーカーグリルをもつダッシュボードからツイータースピーカーがせりあがってくるのも特徴的で話題になっている!! ただし、スピーカーが多ければそのままいい音になるわけではない。アンプ、スピーカーのグレードによるところも大きいのである。 もし、家では音楽をいい音で聴ける環境がない……しかし、筆者のようにいい音で音楽を聴きたいというのであれば、手っ取り早い方法として、純正ハイエンドプレミアムサウンドシステム装着車を薦める。ほとんどが車両と同時に開発され、アンプ、スピーカーは独自設計。車種専用のカーオーディオ、リスニング環境に仕立ててあるからだ(ドアスピーカーのデッドニングなどを含む)。 クルマに搭載されるハイエンドオーディオメーカーとしてはJBL、BOSE、ハーマンカードン、マークレビンソン、フォーカル、ロックフォードフォズゲートなどがあるが、ボクが現在乗っているクルマにオプションで付いているのは、デンマークのハイエンドスピーカーメーカーのディナウディオのもの。フロント✕4、リヤ✕4、ラゲッジルーム下のスーパーウーファーの総出力400W、10チャンネル、9スピーカーという構成だ。 じつは、愛車として初めてハイエンドカーオーディオシステムを経験し、日々、音楽を聴いているのだが、その直前、標準オーディオ搭載の同じ車種に乗っていたからその差は歴然。アンプのクオリティの高さと出力の余裕、スピーカーの数の多さとスーパーウーファーの搭載によって、音のよさ、ダイナミックさ、広がり、低音の迫力の違いに驚き、元ミュージシャンとしても満足しきりなのである。 ギタリストの指が弦をなぞる擦れ音、歌手のブレス、これまで聴こえなかった繊細な音まで見事に再生してくれて、もはや自宅のリスニングルームいらずの音楽生活をさせてもらっている。最新最先端のオーディオではないからCDスロットもあり、CDを買いに行って、その帰りにいち早く車内で聴きながら、ジュークボックスに直接、録音できるところも気に入っている。 なお、自動車メーカーの純正ハイエンドオーディオといっても、メーカーによって音の個性の違いがある。一例を挙げると、トヨタbZ4Xとスバル・ソルテラは兄弟車だが、bZ4XはJBLプレミアムサウンドシステム(9スピーカー)、ソルテラはハーマンガードンサウンドシステム(11スピーカー)を採用する。 それぞれに音の個性があり、好みがわかれるかも知れない。筆者は音像の豊かさ、低音の再生感で後者が好みだ。おっ、スピーカーの数が多いほうだったりして……(個人の感想です)。
青山尚暉