新NISA開始から半年 個人投資家はJTなど高配当株に注目 人気トップは12%も下落
高配当株が多いのも特徴だ。2位のJTの6年度の1株当たり配当金(予想)は194円で、変更がなければ100株持っていると2回に分けて計1万9400円を受け取れることになる。特定口座なら配当にも約20%の税金が課せられるが、NISAなら課税されない。同社の配当利回りは4%超。KDDI(4位)、アステラス製薬(6位)、武田薬品工業(8位)、日本製鉄(10位)も配当の水準が高い銘柄。旧NISAで5年間だった非課税期間が新NISAでは「無期限」となったため、配当が高いうえに株価が比較的安定している銘柄が好まれているようだ。
オリエンタルランドは配当利回りこそ高くないが、運営する東京ディズニーランド、東京ディズニーシーで使えるチケットを受け取ることができる株主優待で人気になっているとみられる。
■株価は明暗分ける
今年に入ってからの株価の推移をみると、買い付け金額上位10銘柄のうち、三菱商事、三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、JTの4銘柄が上昇率2ケタとなった。日経平均株価は2月に史上最高値を更新し、3月には4万円を突破。NISAによる個人投資家の買い付け増が一定の株高要因になったという見方もある。
ただ、1位のNTTは5月10日、7年3月期の純利益が14%減の1兆1000億円になるという減益見通しを公表し、株価が下落。昨年末と6月25日の終値を比較すると下落率は12・4%だ。アステラス製薬とオリエンタルランド、KDDIも、昨年末と比べて下落している。NISAでは長期での保有を前提にしている投資家が多いとみられるが、投資初心者にとって株価下落による含み損の心理的な影響は大きく、4、5月の日経平均株価の下げ局面ではSNS(交流サイト)で「損切り民」が話題になったほどだ。
SBI証券の栗本さんは、「配当利回り以外にも業績の安定性や今後の見通しなども考慮してほしい」と話している。
一方、SBI証券によると、つみたて投資枠の買い付け金額1位は「オルカン」の略称で知られ、全世界の主要株価指数に分散投資する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。上位10銘柄のうち、8位までは海外の株価指数などを組み込んだ投資信託が並んだ。NISAによる海外資産への投資促進は、円安進行の一因だと指摘されている。(高橋寛次)