2023年に“飛躍”遂げた俳優・奥平大兼…「最高の教師」で怪演光る ディズニー「ワンダーハッチ」では主役に抜てき
実写で描く現実世界「横須賀」と、アニメで描く架空の世界「ウーパナンタ」を舞台に描かれるオリジナルファンタジー「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」の配信が、12月20日にディズニープラスでスタートした。この作品でウーパナンタ生まれの主人公・タイム役の実写&アニメシーンの声を担当しているのが、9月に20歳を迎えた俳優・奥平大兼だ。2023年は出演映画4作が公開されたほか、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)での演技も話題を呼び「第15回TAMA映画賞」で本年度最も飛躍した俳優に送られる「最優秀新進男優賞」を受賞。そんな彼の軌跡と魅力に迫る。 【写真】相棒のドラゴン“ガフィン”と仲良くポーズを決める奥平大兼、キュートな撮り下ろしショット ■アニメから現実へ…二次元から飛び出した! 「ワンダーハッチ―」では、演じるタイムが架空の言語“ウーパナンタ語”を操り竜に乗って生き生きと飛び回るアニメシーンから、現実世界の主人公・ナギ(中島セナ)と出会う実写シーンへの切り替わりを実にナチュラルにやってのけている奥平。まさに、“二次元から飛び出したような”という表現を地で行くキャラクターだ。 奥平は、デビューからして鮮烈だった。中学時代にスカウトされ芸能界入りしたものの、当時はバスケットボール部の活動に専念しており芸能活動はセーブ。その後、演技未経験のまま初めて受けたオーディションでいきなり合格。映画「MOTHER マザー」(2020年)で長澤まさみ演じる主人公・秋子の息子、周平役に抜てきされ、まさに彗星のごとく日本映画界に現れた。 ■俳優・奥平大兼の持つ魅力 「MOTHER―」プロデューサー・佐藤順子氏が「最後に飛び込みで『演技経験はない新人ですが』と言われて初めてオーディションでお会いした時、彼しかいないと確信しました」と振り返るほど、唯一無二の存在感をまとっていた奥平。自分勝手な母に振り回されながらも、そんな母の要求に応えようともがく周平のどうしようもなく純粋な心を、みずみずしい感性で演じた。 その感性の源泉は“素直さ”。「MOTHER―」脚本・監督の大森立嗣氏は「彼は“演技の中でうそをつかない”ことをやり通した。うそをつかないためには自分がどういう気持ちにならなければいけないかという作業を、撮影中ずっとしていた」、共演した長澤も「(奥平が)感じたことや思ったことを素直に反応してくれたので、今回、私はとても助けられていたように思います」と口をそろえたように、奥平は表情やしぐさだけでなく、心の中までその役柄に成り代わって同じ気持ちを体感することに長けている。だからこそ、見る者の心を打つのだ。 「MOTHER―」での演技が評価され、奥平はこの年、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第44回日本アカデミー賞新人俳優賞」「第63回ブルーリボン賞」新人賞など名だたる新人俳優賞を総なめ。一躍、今後の日本映画界をけん引する存在として注目を集めた。 ■「俺と一緒に死んでくれない?」難役を務めた「最高の教師」 2023年は、初主演映画「君は放課後インソムニア」で不眠症に悩む高校生、広瀬すず&櫻井翔W主演作「ネメシス」の劇場版でAI開発の天才、憧れの先輩・横浜流星と初共演した映画「ヴィレッジ」(2023年)では全身タトゥーが入った“陽キャ”の青年…と、多彩なキャラクターを演じてきた。そんな2023年に彼が最も注目を集めたと言っても過言ではないインパクトを残したのが、久々の地上波ドラマ登場となった「最高の教師―」だ。 演じたのは、本心が読めない危うさを持った男子生徒・星崎透。最終回では、教師・九条(松岡茉優)に「俺と一緒に死んでくれない?お願い」と冷めた目つきで懇願する怪演を見せ、視聴者からも「お芝居に見入ってしまった」「星崎の気持ちに共感しかなかった…」と熱い感想が寄せられたほど。 ■新田真剣佑もビックリ!“ウーパナンダ語”ペラペラ 感性のみずみずしさだけでなく、努力家の一面も奥平の魅力の一つだ。 「ワンダーハッチ―」で異世界“ウーパナンダ”の人々が口にする言語“ウーパナンダ語”は、リアリティーを持たせるために言語学者に依頼してゼロから作ってもらったオリジナル言語。奥平演じるタイムが憧れるドラゴン乗り・アクタ役の新田真剣佑も「めちゃくちゃ難しかった」と語るこのウーパナンダ語を、奥平は完璧にマスターしたという。 「ただしゃべるだけではなく、感情を乗せて、タイムが伝えたいことを伝えるというのが、今までにない挑戦でした」と、当メディアのインタビューで振り返った奥平。本編でもウーパナンダ語の長ゼリフをリズミカルに口にしており、バイリンガルの新田も「大兼はめっちゃ頑張っていました!長いセリフがあるんですけど、それをウーパナンダ語でば~っと(ペラペラしゃべった)」と驚いたほど。タイムのウーパナンダ語での一連のシーンも「ワンダーハッチ―」ならではの見どころの一つだ。 キャリア4年目を迎え、11月に「第15回TAMA映画賞」最優秀新進男優賞を受けた際には、「自分ならではのお芝居ができるようになりたいと、今年あらためて思うようになりました」と決意を新たにした奥平。だがまだ20歳。元来のみずみずしい感性に努力を惜しまない性格、さらに経験値も加わって、今後どんな俳優として成長していくのか興味は尽きない。 「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」は、ディズニープラスのスターで毎週水曜に新エピソードを独占配信中。12月27日(水)は第3・4話同時、第5話以降は毎週1話ずつ配信される。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部