【密着】ドイツ 馬に魅了され、寝る間も惜しんで働き続ける獣医師の息子へ届ける家族の想い
小児科医の父の背中に憧れ、自ら休みを返上して診察
人手不足の状態でも8時間のシフト制を守るドイツ人獣医師に対し、自ら休みを返上して診察にあたる俊介さん。この日も午後8時過ぎに終えた往診の後には夜勤が控えていた。こうして時間を度外視して働き続けるのは、小児科医である父の影響だという。「どんなときでも患者さんの対応をして、休みもほとんどなかった。でも、患者さんのために働く背中に憧れたりもして。本当に僕の一番尊敬している人です」。 休むことなく馬を診る息子の姿に、父・博司さんは「うれしく思いますけど、僕とまったく同じことをやっている。そんなところは似なくていいのに…」と苦笑いする。ただ、博司さんは同じ小児科医になってほしいとは思っていなかったそうで、「僕も父にやりたいことをやれと言われて小児科医になった。息子にも自分の好きなことをやれと、それしか言ってないですね」と明かす。 あるとき急患の連絡が入り、急いで現場に向かった俊介さん。ペットとして飼われている馬は人間でいえば100歳を越える高齢馬で、駆けつけた時にはすでに倒れていた。深刻な病態の馬をその場で治療するのは難しく、病院に移動して処置を続けることに。だが、一旦は落ち着いたものの、馬は再び倒れてしまう。そんな様子に、解決法を探っていた俊介さんと院長は安楽死させることを選んだ。時に最も辛い選択を迫られることもある獣医師。「そうやって馬を助けるというのも1つの仕事。辛いですけど必要な選択です」と俊介さんは言う。
馬のために休むことなく仕事を続ける息子へ、両親からの届け物は―
馬に魅了され、ドイツに渡り6年。「最終的なゴールとしては、僕がお世話になった日本の馬たちの助けになるような仕事ができたら。ドイツにあるような馬の病院を日本に作って、そこで働きたいです」。そう将来の目標を定め奮闘する息子へ、両親からの届け物は父が愛用していた聴診器。そして「これで若き日の私と同じに様々な経験を積んでくれたら嬉しいです」「俊介らしく 馬バカ道へ真っしぐらに突き進んで下さい」というメッセージが添えられていた。 「めっちゃいい聴診器だ! 毎日使うものなのでありがたい」と感激する俊介さんは、「感謝しかないですね。これを受け取って、もっと心が近くに感じるようになったというか、両親との距離が縮まったような気がします」と喜びを語るのだった。 (読売テレビ「グッと!地球便」2024年11月10日放送)
読売テレビ「グッと!地球便」