2軍監督にも注目! 成功するのは、スター監督か?叩き上げ監督か?
そもそも2軍監督に問われる手腕、素養、役割とは何だろう。 「私の役割で言うならば、金本監督の率いる1軍が勝つために必要な選手をいかに送り出せるか。選手個々によってやるべきものは違っています。将来のチームの軸になるような若手の中長期スパンでの育成も大きな仕事でしょうが、1軍の予備軍であるベテラン、中堅選手の技術や調子の微調整も重要です。若手には、技術云々の前に、基礎体力をつけさせ、野球そのものも教えていかねばなりません。監督としては選手だけでなくコーチ、スタッフの責任というものも背負う必要があると考えています」とは阪神の掛布2軍監督の弁。 ファームと言えどファームの日本選手権、イースタンとウエスタンの交流戦、アマチュアとの交流戦などで勝ち負けが話題にはなるが、基本的に勝敗は目的ではない。チームが勝敗にこだわることで選手として成長する部分や得るものは少なくないが、1軍半の“準戦力”の調整と、若手を育成して一人でも多くの戦力を1軍に送り出すという役割が一番で、トリプルスリーのソフトバンクの柳田、ヤクルトの山田のような球界を代表するような選手の育成に成功すれば万々歳だろう。 しかし、3軍制を採用しているソフトバンクと巨人以外の10チームでは、「試合数が限られている中で、まず1軍の待機選手の出場を優先しなければならない。その中で若手育成の場をどう作るかの起用法が悩ましい」(ヤクルト・宮本2軍監督)という葛藤がある。ヤクルトは、強化指定選手という制度で野手3、4人、投手3、4人に優先的な出場機会を与えているが、2軍監督の手腕だけでは解決のできない問題もある。球団としてのファームのあり方にどんなビジョンを抱いているかもファームの成否に大きな影響を与える。 その中で現役時代に名だたる成績を残した新2軍監督が、どういう指導力を発揮するのか。それとも選手時代には無名でも、叩き上げの経験豊富な指導者がファームからニュースターを誕生させるのか。キャンプ、オープン戦で、2軍の動向を追うのも、もうひとつのプロ野球の楽しみ方なのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)