2軍監督にも注目! 成功するのは、スター監督か?叩き上げ監督か?
一方、現役時代の実績はほとんどないが、叩き上げから豊富な指導者経験を積み、評価を得て抜擢された2軍監督もいる。広島の水本勝己(47)は、テスト生で入って2年で引退、その後、長くブルペン捕手を務め、その情熱と人望を買われてコーチに転進、2、3軍コーチ、2軍監督代行などを経て2軍監督に就任した異色の経歴。ロッテの山下徳人(50)も、現役時代は愛甲猛の控えに甘んじ、一度も規定打席に達しなかったが、1、2軍打撃コーチやスカウトまでを経験してきた。本人は、2軍監督の就任時に「スカウト時代、そしてコーチとしての経験を元に形にとらわれる事なく、選手個々にあったスタイルを一緒に築き、一人でも多くの選手を一軍へ送りだせるように」とコメントを残しているが、元スカウトの経験は、2軍の指導者にはプラスに働く。ヤクルトの宮本賢治(56)は、サブマリン投手として通算55勝しているが、1軍コーチとスカウトの経験者。その後、ファームディレクターというフロントの立場で育成の現場を任されてきた。 「昔、2軍でよく失敗したケースは、スカウトが『せっかくの素材をコーチが育てない』と、不満を口にして2軍のコーチが逆に、『スカウトは、どこを見て、なぜこんな選手を取ってくるのか』と文句を言い、責任を押し付けあうこと。僕は両方を経験しているのでよくわかるが、スカウトとのコミュニケーションをしっかりと取って選手一人ひとりの特性をつかんだ上で、どう育てるかの中長期のビジョンを指導者側がスカウトとも共有しておかねばならない」と宮本氏。 そのヤクルトで長くスカウトの責任者を務めてきた片岡宏雄氏も、「例えば、平本学という剛速球ピッチャーを立命大から2000年に1位で指名したが、伊東昭光(1軍投手コーチ)にキャンプで、『このコントロールじゃ使えない』と烙印を押されてしまった。選手が育つかどうかの成否にはコーチとの相性がある」と言う。 スカウト経験のある2軍監督には、そういう問題を解決できる期待感がある。