どうにか動いた自作キーボードキット「Corne Cherry Light」、そしてさらなる変態の道へ(小寺信良)
それでも慣れが必要だった
実際にこのキーボードの運用を開始したのだが、いきなり普通の文字入力が全然うまく行かなかった。それというのもこのキーボード、スイッチの配列が縦方向で綺麗に揃っているのである。通常のキーボードは、キー半個分だけ横にずれて配置されている。 他の自作キーボードはどうなってるんだっけ、と調べてみたら、左右分離型の自作キーボードは概ね縦列が揃っているようである。省スペースの関係でそうなってしまうのか、基盤配線の都合なのか何か理由があるのかもしれないが、従来型のキーボードに慣れていると、ここがネックになる。 これに慣れるまで、1日かかった。少し指を開き気味にタイプすれば行けることを発見してからは、概ねタイプミスなしで行けるようになった。ただ次に自作するとしたら、横に半個分ズレているものを探したい。 キータッチは実際にタイプして選んだスイッチなので、非常に満足できたのだが、やっぱり問題はキーマップだった。実際に運用してみると、意外にFnキーの出番が多いのである。つまり省スペースと引き換えに、圧倒的にキーの数が足りない。 最初は右手親指の位置にFnキーを配置してみたのだが、右手親指がFnキーを押すために頻繁に取られてしまうと、ホームポジションがずっと横にズレたままになって具合が悪い。 そこでイレギュラーではあるが、CapsLockの位置にもう1つFnキーを設定した。空いた方の手でどっちかを押せば、入力できる。そうなると「Alt」キーがなくなってしまうが、日本語入力やショートカットではあまりAlt(Option)キーは使わないので、Fnキーの隣「A」キーのところに、Altキーをアサインした。ひとまずこのキーマップに落ち着くまで、1週間ぐらい試行錯誤が続いた。 現在もこのキーボードで原稿を書いているが、執筆速度からすれば普通のキーボードと比べると85%ぐらいだろうか。たまに記号キーの入力があると、ええとどこだっけと探す手間がある。また堅牢性という点では既成品には劣るので、出張に持ち出したりというのも難しいだろう。 左右分離型なので、手首の角度はKinesis並みに楽だが、その半面、ノートPCのキーボードの上をまたいで配置する「尊師スタイル」にはできない。ただキータッチが軽快なので、自宅で使うキーボードはしばらくこれに決まりそうだ。 また中央に箱を置いてハの字型に立てかけると、かなり楽に入力できるということがわかった。今は適当な箱を使っているだけなので、もう少しちゃんとした足を見つけたいと思う。
小寺信良@TechnoEdge