どうにか動いた自作キーボードキット「Corne Cherry Light」、そしてさらなる変態の道へ(小寺信良)
少ないキーをどう最適化するか
キーボードとして動作するようになったら、次はキーマップである。キーのマッピングには以前もご紹介したことがある「VIA」が使える。なにせキーの数が少ないので、何かを諦めなければならない。諦めたキーは、Fnキーを設定して、別レイヤーに移す。つまりFnキーを押しながら動作する層を作るわけである。 例えばUS配列のHHKBでは、矢印キーが省略されているので、Fnキーを押しながら記号キーを押すことで、矢印キーの動作を代用している。そういうアサインをどう合理化していくかがポイントになる。 「Corne Cherry Light」の場合は、アルファベットを埋めてしまったらもはや最上段に数字キーが入る余地がないので、ここはQWERTY列をFnキー押しで数字キーに割り当てるのが妥当である。 問題は、矢印キーをどうするかだ。文章の入力においては、矢印キーはものすごく多用する。思いついた文をそのまま入力すればいいだけなら問題ないが、実際には不要な倒置法になっている箇所を切り貼りして通常の語順に並び替えたり、長文一気入力における変換範囲を伸ばしたり縮めたりするのに、日常的に矢印キーを多用する。このあたりはマウスでは代用が効かない…というか「.」1つを切った貼ったするのに、マウスを使って懸命に選択しようとするほうが時間がかかる。 筆者がHHKBに馴染めない理由は、矢印キーがFn押しだからだ。おそらくスペースバーとエンターキーの次に頻繁に使うキーなので、表面にでていないと物書き用のキーボードとしては使いづらい。一応HHKBと同じような配列にして慣れようと頑張ってみたが、小指でFnキーを長時間押しつづけるという動作は、どうしても無理があった。 そのほか、筆者の日本語入力に必要なキーは、「ー(長音)」キーだ。IT・PC・ガジェット系の文章には外来語が多く、どうしても長音キーは必須となる。「,」「.」キーも外せない。これはそれぞれ「、」「。」に対応するからだ。 意外なところでは、「TAB」キーも外せない。これは予測連想変換の結果を確定するときに使用するからだ。これがあるとないとでは、入力のスピードに圧倒的な差が出る。 こうして必要なキーを埋めていくと、記号キーのほとんどが入らない。むりやり矢印キーを入れた弊害だが、仕方がない。割と多用する「」(カギ括弧)はFnキー押しで我慢した。