ほぼすべての保有株を売却した森永卓郎氏が一部の株を「売らずに手元に残している」理由
あぶく銭が自由診療の費用に
売却益税と相続税の完全な二重課税を避けるためには、資産を3年以内に処分することが必要だということになる。もちろん、相続後3年以内だけでなく、相続の前に処分しても、売却益の重税を避けることができる。 私は、この数年、所有していた株式を徐々に処分してきた。相続税のことを考えたというよりも、いまの株式相場が完全なバブルであり、近いうちに大暴落が来ると考えていたからだ。だから、がんの宣告を受けた時点で、投資用の国内株式は、すでに売却済みだった。 ただ、外貨建ての投資信託はそのまま残していた。当面、円安が進むだろうと考えていたからだ。がん宣告のあと、それらもすべて売却した。世界的な株高と円安のおかげで、相当な売却益が出た。 もちろん売却益には税金がかかったが、それでも税引き後の売却益は、当初3ヵ月間の自由診療医療費の半分以上をまかなえる金額になった。 バブル経済で得た資金が、自由診療の費用に消える。まさに泡が泡と消えたと言えないこともないのだが、あぶく銭を遊興費やギャンブルにつぎ込むよりは、ずっと有意義な使い方だったような気がする。 株の保有目的は資産形成だけじゃない? じつは、私の手元にはまだ少しだけ株式が残っている。それは株主優待目的で保有しているものだ。 たとえば、タカラトミーの株式を一定数持っていると、毎年、株主オリジナルのトミカとリカちゃんをもらえる。だから、コレクションを継続するためには、保有継続が必要になるのだ。 ただ、ここのところの株価は異常なほど高騰しているので、いったん売却して、バブル崩壊後に買い戻したほうがよいのではないかとも思える。どうするべきか、いまのところ資金的には行き詰まっていないので、判断を先送りしているのが現状だ。 森永卓郎 経済アナリスト 獨協大学経済学部 教授
森永 卓郎
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