どぶろく発酵「見える化」 「特区」中能登町と先端大 食材との食べ合わせも研究
国の「どぶろく特区」に認定されている中能登町は、北陸先端科技大学院大と連携し、どぶろくの魅力発信プロジェクトに乗り出した。仕込みから仕上がるまでの期間のアルコール分や糖度などを測定し、発酵度合いを「見える化」させるほか、地元食材との食べ合わせも調べる。2025年度に町内で開催を予定する「全国どぶろく研究大会」で成果を発表し、「どぶろくの町」を売り込む。 プロジェクトは北陸先端科技大学院大の島田淳一特任教授が主導し、金沢工大メディア情報学科の村山祐子准教授ゼミ生らも協力する。 「見える化」の取り組みでは、町内の天日陰比咩(あめひかげひめ)神社で10月に仕込んだどぶろくの発酵過程を週2日程度のペースで測定してデータにまとめ、経験に裏打ちされた製造技術の継承につなげる。このほか、どぶろくのおいしい飲み方や地元料理との食べ合わせなどを調べ、販路開拓を図る。 中能登町では古くから天日陰比咩、能登部、能登比咩の3神社が神事用として毎年どぶろくを醸造し、住民に振る舞っている。2014年、農家が自前の米でどぶろくを醸造することができる「どぶろく特区」の認定を受けた。町内では2人が特区を利用して生産している。 全国の生産者が一堂に会し、飲み比べ会やコンクールを開く「全国どぶろく研究大会」を来年1月17日に町内で開催する予定だったが、能登半島地震の影響で、25年度に延期された。町は能登半島地震で被災した生産者の役に立ち、大会開催地の目玉にもなる企画として、プロジェクトを実施することにした。 プロジェクト関係者が8月下旬、町のどぶろくの製造現場を見学した。島田特任教授は、中能登のどぶろくは高品質だが、PRが不足していると指摘し、「若者らにどうやって飲んでもらえるかを考え、全国大会で発信したい」と話した。