不穏な感触、不死身のカラダ…その名は「ガングリオン4」 美村里江のミゴコロ
SFアニメっぽいタイトルだが、「ガングリオン」はゼリー状の物質の詰まった腫瘤(しゅりゅう)のことである。多くの場合無害で、病院でももみほぐして潰してしまう治療法を行うこともあるので、私は見つけ次第、徹底的にもんでしまう。これまでに4度発見し、対処してきた。 1度目は左の首の付け根。このコリコリしたものはなんぞやと思いつつ、ボイストレーニングで正しい首のポジションやさまざまな発声を繰り返していたところ、これは数カ月で勝手に消えた。 2度目は左の肩。舞台稽古中に左肋骨(ろっこつ)を骨折した後、いまいち動きの戻らない部分をマッサージ中に発見。お風呂に入るたびにつまんでいたら、1カ月もせず消失。 3度目は事故だ。彫刻家の役でハンマーを振るっているとき、左人さし指の付け根を強(したた)かに打ち付けてしまった。カメラが回っているので「痛!」というリアクションもできず、無事オッケーをいただいたものの家に帰ってから内出血と腫れ。しこりが残りつまみにくい部分だったので、時に前歯で嚙(か)んで圧を加えたりもし、2カ月ほどで流れた。 いろいろあったが全戦全勝(?)なので、ガングリオンは対処すればすぐ消えるものと思っていた。ところが…。 左腕の肘にほど近いところの内側に、特大の「ガングリオン4」が出現。細長く潰れたくず饅頭(まんじゅう)くらい、断トツに大きい。他のケースと違い脂肪のついた場所で気づくのが遅れたようだ。 発見直後こそ大きさにギョッとしつつ「まあこいつもすぐ流せる」ともみ始めたが、これまでと違い包んでいる膜が厚いのか、一向に潰れていかない。大きさも変わらず、じょりじょりぷるぷると不穏な感触が指先に募っていく。 少し心配になって鍼灸(しんきゅう)院でも針とお灸で追撃していただき、もみ続けて2週間後、ようやくアザが出た。ジェルを内包していた袋が破れたのだ。 これで後は流すだけ。「よしよし」と一気に気楽になり、忙しさもあってもみ込みの甘い日々が続き、2週間後。ふと触れたガングリオン4の大きさが、も、戻っている!? 自我があるように元の袋状に戻ろうとしていてゾッとし、必死にもみ直し中の今である。
ちなみに、私はもともと左側に鼻詰まりや湿疹が出やすく、滞りやすいらしい。「5」の出現もきっと左とにらんでいる。