西武が「赤坂プリンス跡地」を切り離す戦略的狙いとは 帳簿価格で1500億円の「東京ガーデンテラス紀尾井町」
3Dは2022年からサッポロに経営改革を求め始め、不動産賃貸収入により経営の甘えが生じ、酒類事業の低収益性を長年放置してきたと指摘した。結果、3Dの推薦した社外取締役2名が就任。保有不動産への外部資本の導入・流動化なども検討する方向へとサッポロに舵を切らせた。 沿線人口の先細りが懸念されるとはいえ、西武に対し鉄道事業からの撤退を要求するとはさすがに考えにくい。サッポロと同様に、不動産の流動化などを突き付けてくる可能性はある
ただ、物言う株主が“来訪”したからと言って、西武側に動揺した様子はない。「これまでも多くの投資家と株主価値の向上に向けて積極的に対話を行っており、その中で株主・投資家の皆さまからの声を経営に生かしてきた」(広報担当者)。 資本効率化は喫緊の経営課題。3Dの要求に関係なく、キャピタルリサイクルといった成長戦略を推し進める算段だ。 西武はガーデンテラスのほかにも、2026年度までに複合ビル「ダイヤゲート池袋」や既存ホテル、高級マンション「西麻布レジデンス」について、投資ファンドなどへの組み入れを含めた流動化の具体的な検討に着手する。
不動産市場にとっては「売り物」が多数出回ることを意味する。西武の一挙手一投足を多くの関係者が固唾をのんで見守る。
梅咲 恵司 :東洋経済 記者