家具の転倒を防ぐ商品や携帯トイレなどの売れ行きが急増したホームセンター（広島市安佐南区）

　南海トラフ地震臨時情報（巨大地震注意）の初の発表を受け、広島県内の小売店では防災用品の売れ行きが急激に伸び、各社は品ぞろえの強化に動いた。インフラ関連の企業は災害の発生に備えて警戒態勢を整えた。 　ホームセンターのジュンテンドー沼田店（広島市安佐南区）では9日、2リットル入りのペットボトル飲料水6本のケースが約30個売れ、棚から大半がなくなった。携帯トイレは一部の商品が売り切れた。常設の防災コーナーには、家具の転倒を防ぐ耐震ポールなどが並び、来店客の姿が目立った。 　安佐南区の60代会社員男性は「寝室のたんすが倒れるのが不安」と商品を探していた。高橋和徳店長は「家にある防災用品を確認し、必要なものは買い足してほしい」と呼びかける。 　生活雑貨のハンズ広島店（中区）は9日午前、防災用品の売り上げが普段の10倍以上に上った。月1、2個程度売れる防災リュックが6個売れ、温めずに食べるカレーなど非常用の食品や携帯トイレが好調という。 　地場流通大手のフジ（南区）もペットボトル飲料水の販売が増えた。防災グッズの発注を増やして対応する。イズミ（東区）もカップ麺や電池、ガスボンベなどを買う人が増えるとみて品ぞろえを強化する。 　家電量販のエディオン広島本店（中区）では、停電時に家電への給電やスマートフォンの充電が同時にできるポータブル電源の問い合わせが増えている。 　中国電力は8日夜、災害対策準備総本部を設けた。設置は台風が接近した昨年8月以来。送配電子会社の中国電力ネットワーク（中区）を含め、各事業本部や支社などとの間で情報共有を図る。被害の発生に備え、必要な人員の確認などを進めている。 　広島ガス（南区）も警戒態勢に入った。各職場の管理職が、昼夜問わず速やかに連絡を取り合えるようにしている。