【ライブレポート】ヨルシカ「前世」再演ツアーに幕、不思議な夢の物語と美しい花吹雪で魅了した幻想的な一夜
ヨルシカの全国ツアー「ヨルシカ LIVE 2024『前世』」が12月15日に神奈川・ぴあアリーナMMでファイナルを迎えた。 【画像】「靴の花火」のVJより。(他6件) 本公演は2023年に行われた朗読と音楽によるコンセプトライブの再演。n-buna(G)による朗読パートとバンドによるライブパートが交互に繰り返され物語が進行していく、没入感の高い構成となっている。バンドメンバーとして下鶴光康(G)、キタニタツヤ(B)、Masack(Dr, Perc)、平畑徹也(Piano, Key)、寺久保伶矢(Tp)、MELRAW(Sax)、須原杏(Violin)、須磨和声(Violin)、村田泰子(Viola)、飯島奏人(Cello)といった面々が断続的に入れ替わりながら登場。ステージには上手に置かれた百日紅の木と木下のベンチ、そして楽器セットのみで、ベンチに腰掛けたn-bunaはストーリーテラーとなり、1人の男性が見た不思議な夢について語る物語を読み上げていく。 その男性が動物や草木など別の生き物になっている生々しい夢を“前世”の記憶と捉え始めたところで朗読の第1編が終わり、「負け犬にアンコールはいらない」でライブがスタートする。続く「言って」ではsuis(Vo)がステージ上を楽しげに歩き回りながら、端々で客席のクラップを煽り、「ただ君に晴れ」ではお決まりの箇所でハンドクラップがさく裂した。軽快でダンサブルなリズムの「ルバート」では、タンバリンを持ったsuisが「お前のズレたセンスをバカにしてんのさ!」という歌詞をn-bunaを指しながら歌うという冗談めかした掛け合いがなされ、観客の笑顔を誘った。 その後も男性が夜鷹や虫や花になったときの夢を語り進め、魚になったエピソードを朗読している間にステージセットが緑道から部屋の様相に一変。中央には大きなソファ、上手には湯気が立ち上る巨大なマグカップ、下手には大きなペン立てが存在感を放つ。しっとりとしたメロウな曲が立て続けに披露され、「花に亡霊」ではストリングスが加わり壮大でドラマチックな展開に。パワフルなドラミングがリードする「晴る」ではsuisが明るく伸びやかなボーカルを響かせ、疾走感あふれる「だから僕は音楽を辞めた」では真っ赤な照明とsuisのシャウトで会場の熱気を最高潮に高めた。 ライブは終盤に差しかかり、物語が大きな転機を迎える「前世」編が読み上げられた。悲しくもあり暖かくもあるストーリーの世界観をそのままに、ヨルシカらはコーラスワークが美しい「左右盲」を披露。そして最後の楽曲「春泥棒」では花びらをかたどった紙吹雪が盛大に舞い、幻想的にライブが締めくくられた。 ■ セットリスト □ 「ヨルシカ LIVE 2024『前世』」2024年12月15日 ぴあアリーナMM ・朗読「緑道」 01. 負け犬にアンコールはいらない 02. 言って ・朗読「夜鷹」 03. 靴の花火 04. ヒッチコック 05. ただ君に晴れ ・朗読「虫、花」 06. ルバート 07. 雨とカプチーノ ・朗読「魚」 08. 嘘月 09. 忘れてください 10. 花に亡霊 ・朗読「桜」 11. 晴る 12. 冬眠 ・朗読「青年」 13. 詩書きとコーヒー 14. パレード 15. だから僕は音楽を辞めた ・朗読「前世」 16. 左右盲 17. 春泥棒 ・朗読「ベランダ」