金本監督を直撃!阪神、なぜ、どこが変わった?
阪神が中日との開幕カードを2勝1敗で勝ち越した。それもただの2勝1敗ではない。オープン戦で結果を出したルーキーの高山俊(22)、高卒3年目の横田慎太郎(20)の2人を1、2番コンビに起用。オープン戦では結果を出せなかった新外国人のヘイグを3番に置き、38歳のベテラン、福留孝介を4番に据える新打線が機能したのだ。しかも、開幕から2試合には、プロ13年目の岡崎太一をスタメン捕手に抜擢して、昨年の開幕戦スタメンのメンバーに比べて実に4人が入れ替わった。“超変革”のスローガンを体現したのだ。 金本監督を「チームが変わったな。なぜ?」と、独占直撃すると、こんな答えが帰ってきた。 「高山、横田の1,2番ですよ。彼らは一生懸命だ。ベンチにいるときでも最前列に座り声を出す。横田は常に全力疾走で、見ていて危なっかしいけれど、そういう一生懸命のプレーがベンチ全体に伝わっている。まあ、考えてみれば、それは当たり前のことをやっているだけなんだけど、ベテランも含めてチーム全体が、1、2番の一生懸命さに引っ張られている」 “高横コンビ”の躍動が、刺激となりチームに化学変化を起こしているというのだ。 確かに27日のゲームで先制タイムリー、今季1号ソロと活躍してお立ち台に上がった福留は、こんな話をしていた。 「若い子に負けていられないからね。あの2人に遅れをとっていたから」 開幕から3戦連続安打を記録したドラフト1位の高山は、27日の試合ではプロ初タイムリーとなる三塁打も記録している。そのバットコントロ-ルは、まるでプロに何年もいるかのような職人レベル。中日バッテリーを困惑させた。そして続くのは、涼しげにプレーする高山とは対象的に、毎試合ユニホームを真っ黒にする横田である。 とにかく思い切りボールを反対方向へ叩きつけて走る、走る。186センチ、92キロの立派な体格。本来は一発を狙える器だが、今は塁に出ることに必死だ。前日は二回一死三塁で、思い切り叩き付けた打球が大きく弾んで前進守備を敷いていた三塁手の頭上を越えていき、待望のタイムリーとなった。 ベンチも、この不器用だが、足の速い横田に小細工は求めない。8回には先頭の高山がヒットで出ると、横田は、また叩き付けた内野ゴロで高山を得点圏に進めた。その横田のプレーに触発されたかのように金本監督に“さぼり魔”と揶揄される西岡剛(31)までが、ボテボテの内野ゴロで全力疾走、一塁にヘッドスライディングをして塁に出た。 “高横コンビ”は、チームに戦う集団に必要な闘争心を喚起している。そして、横田は横田で「前で高山さんが打つので負けたくない気持ちが強いんです」と、プロでは2年先輩になるが、年齢ではふたつ上の高山に強烈なライバル心を抱く。和田監督時代には、“気力がない”“元気がない”と表現されることの多かったチームの至るところに競争が生まれ、大きく変革しようとしている。ただ若手を起用しただけでなく、そういう空気の一新を金本監督が率先して行ってきたのだ。