中学時代はハンドとの二刀流 父子2代で富山第一から花園出場
27日に開幕する第104回全国高校ラグビー大会で、富山第一は大会第1日の1回戦で流通経大柏(千葉)と対戦する。SH奥田太朗選手(3年)は、31年前に同じ富山第一から花園に出場した父亮さん(49)の背中を、小学生時代から追ってきた。父と同じ背番号をつけ、憧れの舞台を全力で駆け抜ける。 奥田選手は164センチ、62キロと小柄ながら、持久力とテンポを生かした攻撃が持ち味だ。得意のパスに磨きをかけようと帰宅後も亮さんとパス練習をし、学校では有志で自主的な朝練習を続けてきた。努力が実り、3年になって父と同じ9番でレギュラーを勝ち取った。 ◇中学まで野球少年 ラグビーを始めたのは小学校入学後、亮さんがコーチを務めている「富山ジュニアラグビースクール」に連れて行ってもらったのがきっかけだった。チームに友人ができたこともあり、「チームメートと勝った喜びを分かち合えるのが魅力」とその楽しさに夢中になった。 亮さんは「自分の人生を豊かにしてくれたラグビーの魅力を長男に伝えたかった」と振り返る。自身は中学まで野球少年だったが、富山第一に入学後、先輩に誘われてラグビーを始めた。指導者にも恵まれ、必死に練習に食らいついた結果、3年時に第73回大会に出場。1回戦で淀川工(大阪)に0-11で敗れたが、当時の仲間とは今も付き合いが続いている。大学ではラグビー部の主将としてチームを引っ張った。今は会社員をしながらスクールのコーチを務める。 ◇父と同じ色のジャージーで 奥田選手は中学時代、学校にラグビー部がなかったため、友人に誘われてハンドボール部に入部。毎日2時間の部活動をこなし、夜と週末はラグビーに汗を流した。さすがに両立は大変で、どちらかに専念しようかとも考えた。それでも2年時には、父と同じ富山第一に進学して、同じスクールの仲間とともに花園を目指そうと決意した。幼いころから父のプレーをビデオで見て、声を出してチームを引っ張る雄姿に憧れたのも理由の一つだった。 11月の県予選決勝に先発出場した奥田選手。6大会連続16回目の花園出場を決めると、スタンドで見守った父とともに喜びを分かち合った。保護者会長の亮さんも「最高の気分」を味わった。 花園では亮さんら家族全員が現地で声援を送る。奥田選手は大学進学後もラグビーを続ける予定で「ラグビーを通じて多くの人と関わることができた。富山第一でラグビーができて本当によかった」と話す。父と同じ色のジャージーでグラウンドに立つ瞬間を心待ちにしている。【青山郁子】