新卒採用、なお高い意欲 製造・小売で「増える」増加 中小は苦戦 リクルート研究所調査
リクルートホールディングスの研究機関、リクルートワークス研究所が20日発表した新卒の採用見通し調査によると、令和8年春の大学生・大学院生の採用が「増える」と答えた企業は13・2%で、「減る」の5・4%を7・8ポイント上回った。「増える」と「減る」の差は前年より3・0ポイント縮まった。ただ、製造業や小売業で採用が増えており、研究所では「増勢は鈍化するも企業の採用意欲が高い」と分析している。 今回の調査では、全業種で採用が「増える」との答えが「減る」を上回り、雇用の底堅さが目立った。中でも小売業は15・4ポイント、情報通信業が11・2ポイント、機械器具製造業が11・1ポイントのプラスだった。同社は「製造業はデジタル化やデータ分析など、専門的なスキルや経験を持っている学生のニーズが高まっている」と分析。大学院生の人気も高いという。 一方、7年春の採用では、採用予定数に対する内定数の割合を示す「充足率」が10月1日時点で76・8%だった。前年から2・1ポイント上昇したが、平成26年以降の調査では2番目に低い結果となった。 1000人以上の企業の充足率は9割を超えた一方、1000人未満は7割を切った。5~299人規模の企業は62・3%にとどまり、中小企業が人材の確保に苦戦している様子が浮き彫りになった。大卒求人倍率の上昇などもあり、同社は「欲しいところに応募が少ない。競争が高まり、学生も選択肢を多くみているのではないか」と強調する。 業種別では、金融業が前年の72・9%から92・5%に大幅に増加した。内定者を確保する企業戦略で、内定時期の早期化や内定数の増加があったとみられる。同社は「(理工系などの)特殊なスキルの募集も増え、これまでは金融を志望しなかった学生の流入があった」と指摘した。(高木克聡)