Copilotボタンは“Netflixボタン”のようになれるか? AIの爆発的普及を予感させる2024年への期待
生成AIが起こしたイノベーションや、それに対するカルチャーシーンの変化については、昨年後半にリアルサウンドテックにて特集記事「生成AIはカルチャーをどう変えるか? テクノロジーとの共存に必要なもの」として公開し、大きな反響がありました。 【写真】生成AIを使った写真編集機能などを搭載した、Galaxyの新たなAIスマホ しかし、この時に少しだけ「AIについて関心があって、使いこなそうとしているのはまだ一部の人だけ。この状態ではまだ“普及した”とは言えないんじゃないか」と思ったことも事実でした。 テクノロジーが爆発的に一般大衆に普及するには、それが“サービス”であったり“ハードウェア”として日常的に使うもの・使えるものになる必要があると考えているのですが、どうやら2024年はその大きな転換点となりそうです。 まずひとつは、Microsoftが2024年以降のWindowsPCにおける標準キーとして、OpenAIの大規模言語モデルを使用したAIアシスタントアプリ『Microsoft Copilot』を呼び出す「Copilotキー」を追加したこと。基本的にはここ最近のWindowsキーボードにおける「アプリケーションキー」が「Copilotキー」に変更となるようです。「Copilotキー」がないキーボードも「Windowsキー」+「C」で呼び出せるようになるみたいですが、複数キーのショートカットとして存在するのと、単独キーとして存在するのはまったく違います。 わかりやすい例として挙げられるのは、テレビのリモコンに搭載されているVODボタンでしょうか。NetflixやABEMAなど、国内外のVODサービスを一発で起動できるボタンがアサインされていますが、これは各社がサービスを普及するため、テレビメーカーにリモコンの製造費用を一部負担する代わりに自社のボタンを搭載する、という施策が成功したことで定着したのです。 リモコンに搭載されたことがすべてではないですが、デジタルリテラシーの高くない人たちにとって、目に見える形でボタンがあるのはすごく大きいと思いますし、普及のスピードも大きく変わってくるでしょう。 AIに関して大きな動きを見せているのは、パソコンだけではありません。直近ではSamsungが新時代のAIスマホこと「Galaxy S24」シリーズを発表しました。 AIアシスタントのような機能はビックテック企業が端末に関係なく提供していますが、このシリーズではAIによる通話のリアルタイム音声翻訳+テキスト化という、まるで“ほんやくコンニャク”のような機能を独自で実装。さらに生成AIによる写真修正機能も実装しており、画角を整えた際に欠けてしまった背景を足すこともできるんです。気軽にAIアシスタント+生成AIを使えるスマホが2024年初頭に出てきたことで、一気に今年への期待が高まりました。 誰もが触るデバイスであるパソコン&スマホにAIが標準搭載されることで、誰もが簡単&気軽にAIを使い、それによってテクノロジーがますます進化するーー。そんな世界が理想ではなく、あともう一歩のところまで来ているのだと予感した2024年初頭でした。
中村拓海