夏の給食配膳室が暑過ぎる－。長崎県内の小学校で給食配膳室のスタッフとして働く女性から、長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」に情報が届いた。県内の公立小中学校では２０２２年度までに普通教室のエアコン設置がほぼ完了したが、給食の調理室や配膳室は、ほとんど未設置。年々暑さが厳しさを増し、高温多湿の密室での作業は過酷を極める。実態を取材した。 　投稿した女性は朝９時から午後２時過ぎまで勤務。異物混入のリスクを避けるため、配膳室を離れることはほとんどない。ほこりや虫の侵入を防ぐため、ドアや窓は極力開けず、基本は密室。夏場は午前中から３０度を超え、４０度近くに達する日もあるという。自身の体調はもちろん「子どもたちの食事を高温多湿の室内に長時間置いておくのも心配」と訴える。 　現場の状況を知ろうと、今月中旬、諫早市内の小学校を訪ねた。この日の長崎市の最高気温は３３・３度。記者が配膳室に入った午前１０時半ごろ、手元の温度計はすでに３０度を示していた。見る見る上昇し１０分ほどで３５度を超えた。大型扇風機が１台回る以外、空調設備はなく、立っているだけでじっとり汗ばんでくる。 　この学校では通常２人体制で配膳を担当。市内の給食センターから人数分の食器が先に届き、給食が届く前に数えたり、欠損の有無を確認したりする。テキパキと動きながらも顔は真っ赤だ。「お皿を数えながらボーッとしてきたり、頭痛がしたりもする日もあるが、ミスは許されない。責任を持ってやる」と話す。小まめに水分補給しながら仕事に当たっている。 　午前１１時過ぎ、給食を入れたコンテナが到着。おいしい香りと共に熱気がもわっと広がった。室温も上昇し３６度に。スタッフはコンテナの扉を開け、食缶と呼ばれる容器をクラスごとに並べた。室温は３７・１度に達した。 　同市教委によると市内の小中学校で給食配膳室にエアコンを設置しているのは４２校中３校のみ。連日の暑さに現場から食事の安全やスタッフの体調を懸念する意見が上がり、職員が複数の学校で現地を確認した。ただ具体的な対応策の検討はこれからとする。 　長崎市は給食調理室がある小中学校３５校のうち、エアコン設置は４校。２６年度２学期までに市内３カ所の給食センターに調理機能を集約するため、新たなエアコン導入は予定していない。配膳室は各校に必要となるが、エアコンの設置の予定はないという。 　佐世保市も同様に各校の調理室を給食センターに集約する方針。配膳室は一部の学校を除き、エアコンはない。建物の構造的に設置が難しい学校もあり、当面は冷風機の設置やスタッフの増員で対応する。試験的に空調機能を持つ白衣の導入も始めた。 　投稿した女性は「子どもたちの笑顔や素直な心に力をもらい、仕事にやりがいを感じている。厳しい実態を国や自治体に知ってもらい、少しでも改善してほしい」と求める。