「いつか打たれる」阿部監督が織り込み済みだった投手陣の乱調と新打線への手応え
◆日本生命セ・パ交流戦 西武4×―3巨人(1日・ベルーナドーム) 西武に逆転サヨナラ負けを喫し、連勝は3で止まった。プロ初登板初先発のドラフト5位・又木鉄平投手(25)が6四球を与えながら6回2安打無失点。打線も中盤以降に得点して主導権を握ったものの、リリーフ3投手の失点が誤算だった。勝てば、敗れた広島に代わって首位浮上だったが、最終回に暗転した。シーズン序盤を支えた投手陣が崩れた一方、攻撃陣につながりが生まれつつある現状を、巨人担当の井上信太郎サブキャップが「見た」。 【動画】悪夢…9回2死からサヨナラ負け つかみかけていた首位の座も、又木のプロ初勝利も、あと1死でスルリと抜けていった。1点リードの9回、守護神・バルドナードの牙城が崩れた。2死一、二塁、蛭間の左前適時打で同点に追いつかれると、最後は元山に右前へサヨナラ打を許し、連勝が3でストップ。阿部監督は「まあ、バルで何試合も勝ったからね。たまにはこういう時もある」と今季初めてリリーフに失敗した助っ人左腕を責めず、淡々と敗戦を受け止めていた。 指揮官が落ち着いていた理由は、ここまでチームを支えてきた救援陣が崩れる時がいずれ訪れると覚悟していたことと、新打線への手応えを感じはじめているからだろう。プロ初登板初先発の又木は6四球を出しながら6回2安打無失点。6回には2点を先取し、リーグ2位の救援防御率を誇るリリーフ陣で逃げ切る形を作った。だが7回から登板した2番手の大江が1失点し、8回には西舘が元山にプロ初被弾となるソロを献上。1点リードの9回にはバルドナードが2点を奪われた。救援陣の3人が失点するのは、4月26日のDeNA戦(横浜)以来2度目のことだった。 ただ、このような試合に遅かれ早かれ直面することは、ベンチも想定していた。シーズン序盤から得点力不足に苦しむ攻撃陣を投手力でカバーし、好位置をキープしてきた。3日連続登板させないなど配慮してきたが、シーズン3分の1を経過し、疲労もたまってくる時期。指揮官が「長いシーズン。ピッチャーもいつか打たれる」と言うように、投手が時に崩れることは織り込み済みだった。 救援陣が計4失点して連勝は3で止まったが、打線につながりが生まれてきている。6回は9番・立岡の安打から上位打線が鮮やかにつながった。1番の丸が中前へ運び、続くヘルナンデスはデビューから5戦連続安打を左前へ。無死満塁から吉川の右前への打球は二塁封殺でライトゴロとなったが、先制点をたたき出し、岡本和の犠飛で2点を先行した。 交流戦からヘルナンデスが2番に入り、上位打線が機能。前日の同カードでも、3回に2番のヘルナンデスから4連打で2得点を奪った。ファームでリフレッシュさせた大城卓は、休養した坂本に代わって5番に入り、27打席ぶりに安打を放った。「いい感じで点は取れてきている。継続してやってもらいたいなと思います」と阿部監督。開幕から低調だった攻撃陣に明るい材料が増え、投手の負担を減らせる陣容になりつつある。 5月15日以来2週間ぶりの首位はお預けとなったが、2日の同カードで勝利すれば、3カード連続での勝ち越しが決まる。「しっかり切り替えて、勝ち越せるようにするだけです」と指揮官。阿部巨人の投打がかみ合う日は、すぐそこまで来ている。(井上 信太郎)
報知新聞社