「神風ドローン」で戦争を変えた米防衛テック企業、株価は2年で4倍に
14歳でアフガニスタンから命がけで逃げ出したCEO
2007年に同社が上場し、同年に創業者のポール・マクレディが亡くなった時点で、小型無人機事業は好調であり1億4600万ドルの売上を計上していた。また、2013年までには、国防総省が保有する無人機の86%が同社製であると誇るまでになった。エアロバイロンメントは、これまで2万5000機のレイヴンを製造しており、同社によれば、これは史上最も製造された軍用航空機だという。 同社が2012年に発表したスイッチブレード300は、重量が約2.5キロのリュックサックに収まる大きさで、兵士たちが以前は空爆や砲撃に頼る必要があったような距離で敵を攻撃できる初めての武器となった。 ■14歳でアフガニスタンから脱出 エアロバイロンメントのCEOを務めるナワビは、14歳だった1981年にソビエト連邦統治下のアフガニスタンから命がけで逃げ出した過酷な経験を持っている。彼の父親は、政府の役人だったが、米国で教育を受けたことからアフガニスタン政府に迫害され、逃亡を悟られないよう子どもたちを残して夫婦でデリー行きの飛行機に乗った。ナワビは、3人の姉妹とともに、58日間をかけて陸路でカブールからパキスタンを経てインドへと警察のパトロールを避けながら逃れた。 ナワビは、この経験を今の成功と結びつけ「時が流れて私は今ここでスイッチブレードを作り、ロシア人を痛めつけている」と誇らしげに語る。 彼は、自分が2016年にエアロバイロンメントのCEOに就任して以来、世界が今ようやく準備してきた未来に追いついてきたと考えている。 しかし、彼の会社は、市場を独占しているわけではない。エアロバイロンメントは、米国で海兵隊の歩兵用ロイタリング弾薬プログラムをめぐって、Teledyne Flir(テレダインフリアー)やアンドゥリルと競合しており、今年5月にこの3社は試験的な契約を獲得した。また、イスラエルの競合のUvisionは、ロイタリング弾薬を米国の特殊部隊や外国の軍隊に販売している。 しかし、フォーブスが入手した情報によると、海兵隊は2021年にUvisionが獲得した車両搭載型ヒーローの契約を静かにキャンセルしており、これによりエアロバイロンメントがそのビジネスを獲得する可能性が生まれている。