夏場のキャベツ栽培で雇用を確保 長野県松本市奈川でNPO法人が収穫
長野県松本市奈川地区で農業によって雇用の場をつくり、過疎化を食い止めることを目的として、1月に設立された「NPO法人・あぐり奈川」が本年度、主力の農作物として高地の冷涼さを生かし、夏場のキャベツ栽培を始めている。24日に収穫がスタートし、JAをはじめ、学校給食や地元の食品加工会社に出荷している。今年の収穫は11月までに約120トンを見込んでいる。 奈川地区内にある標高1000メートルの畑約4ヘクタールで栽培している。キャベツは涼しい気候でないと栽培が難しいことから、夏場に中信では栽培されることが少なかった。だが、「地産地消」に取り組む松本市と安曇野市の学校給食や、コンビニエンスストアの弁当、総菜などで需要があることから、地理的な条件を生かして主力農作物として6月に栽培を始めた。 25日は山あいの畑で、職員や地元の高齢者らが収穫作業に汗を流した。80代の女性たちは、専用の包丁でキャベツの玉を次々と切り取り、若い職員らが運んで出荷の箱詰めをした。シャキシャキとした葉がびっしりと詰まっており、寒暖の差で甘みも増しているという。 同法人の田中浩二理事長は「山の中の農業でお金を生むことは難しいが、仕組みをつくり、奈川から出て行った若者やIターンの人を呼び寄せたい」と願っている。 松本市岡田町から奈川地区に移住した同法人の職員は「奈川は住民同士のつながりが強く、迎え入れてもらえてうれしい。地元のお年寄りのめりはりある働き方は勉強になる」と話している。
市民タイムス