高級魚ノドグロ、水槽で産卵・稚魚育成に成功 富山県水産研が世界初
富山県水産研究所(滑川市高塚)は10日、水槽内で高級魚アカムツ(ノドグロ)の産卵と稚魚の育成に世界で初めて成功したと発表した。栽培漁業の事業化や水産資源の保全・管理が期待できる。 同研究所は2011年にアカムツ研究に着手。これまでは産卵期(8月下旬~10月上旬)に漁獲したアカムツから卵と精子を採取し船上で人工授精していたが、ふ化につながる良質な卵を持ったメスの親魚は少なく、受精卵の安定確保に課題があった。 2020~23年に富山湾で漁獲された親魚計69匹を研究所の水槽で飼育。水温や明るさ、餌などを自然界に近い条件にした結果、水槽内で自然産卵させ、その受精卵を稚魚へ成長させることに成功した。 12月8日時点で全長約5センチの稚魚約5千匹を飼育しており、25年1月ごろに1千~2千匹を放流する。 福西悠一主任研究員は「栽培漁業の事業化に向け前進した。漁獲量アップにつなげたい」としている。