【2024年夏】熱中症は室内でもリスクあり! 気候変動の今こそ家の断熱で「室温28℃以下・湿度70%以下」キープが必須 慶應義塾大学名誉教授 伊香賀俊治先生が警鐘
もはや日本の夏は亜熱帯気候に変化している!?
それにしても、最近の日本の夏は暑くなったと感じませんか。「昔はエアコンなんてつけずに眠れた」や「扇風機を回したまま寝ると、風邪を引くといって親に怒られた」という昭和世代も多いのではないでしょうか。 事実として、データでは日本の夏が確実に暑くなっているとわかります。 京都のグラフですが、東京も大阪も北海道も福岡も、全国各地で軒並み夜でも気温が25℃を下回らない熱帯夜が増えているのです。 以前「室温18度未満で健康寿命が縮む!? 脳卒中や心臓病につながるリスクは子どもや大人にも。家の断熱がマストな理由は省エネだけじゃなかった」でも紹介しましたが、1330年代に書かれた『徒然草』には「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる」、という記述があります。 当時、京都に暮らしていた吉田兼好(『徒然草』の作者)は、夏の暑さに辟易としていたのでしょう。だから家をつくるなら夏の暑さをなんとかすれば、冬はなんとでもなると書いたのですが、上記グラフから推測すれば、700年以上前の京都には猛暑日なんてほとんどなかったと思われます。 つまり「吉田兼好(『徒然草』の作者)が嘆いた夏よりも、今はさらに暑い夏なのです」と伊香賀先生は言います。「日本の夏は、亜熱帯気候に変化していると思います」。 もはや兼行が暮らしていた頃のように、風通しをよくすればしのげた夏ではなく、冬と同様、家の断熱性能を高めて冷房機器や暖房機器を効率的に使うことが望ましい夏になったということです(冬の断熱効果については「室温18度未満で健康寿命が縮む!? 脳卒中や心臓病につながるリスクは子どもや大人にも。家の断熱がマストな理由は省エネだけじゃなかった」をご参照ください)。
暑い夏の危害は、高齢者だけでなく、子どもや大人にも迫っている
また、夏のエアコンの使用といえば、数年前に小学校でのエアコン使用の是非がニュースになりました。文部科学省も2018年に学校環境衛生基準において、教室の温度を「10℃以上、30℃以下が望ましい」から「18℃以上、28℃以下が望ましい」へと改訂しましたが、伊香賀先生による調査でも、夏の暑さが子どもたちに与える悪影響は如実に表れています。 A校とE校は木造校舎、B・C・D・F・G・H校はRC造の校舎です。また木造とA・E校はどちらも断熱改修を施した前と後の結果を記載しています。このように、体感温度が高い教室のほうが体調不良や集中力の低下が起こりやすいとわかります。木造とA・E校は断熱改修をしたことで、それらの低下がはっきりと見られました。