【毎日書評】知れば、激動の世界情勢が読み解ける「世界の政党」
政党のあり方は、その国を表す
政党を考える際に大事な概念は、民主主義です。つまり、国民が政治的権力を所有し、行使するという政治原理です。国民が政治的権力を行使する有力な手段が選挙であり、政党が選挙において大きな役割を果たします。民主主義を導入している政治体制を民主制と呼びます。(43~44ページより) 単体の概念について、政治学においてはさまざまな考えた方がありますが、本書では権威主義をクローズアップしています。英語メディアではauthoritarianismといわれるものであり、中国や北朝鮮などを指し、頻繁に登場する概念。 権威主義の国に特徴的なのは、国民の投票に基づく議院内閣制や大統領制が存在しないか、存在していても形骸化している点。したがって政党は一党制か実質一党制、あるいは政党すら存在しないことになるわけです。 また、国民の投票に基づく議院内閣制、大統領制などを導入していても、「自由な立候補が認められていない」「表現の自由が認められない」「政党の自由な活動が認められない」などの理由で実質的に権威主義となっている国もあります。いうまでもなく、その典型はロシア。 ちなみに著者は、民主主義と権威主義についてひとつ重要な指摘をしています。それは、じつのところ両者の線引きには曖昧な部分があるということ。 ロシアほどではないにせよ、「野党政治家が不当に逮捕されて政治活動ができなくなる」「野党の政治活動を実質的に制約する」「軍が不当に介入する」というような国は、枚挙にいとまがないというのです。(43ページより) 世界各国の政党がどのような特徴を持ち、その国がどのような傾向にあるかを無理なく把握できる一冊。ビジネスパーソンが「世界のいま」を読み解く際に、大きく役立ってくれることでしょう。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: かんき出版
印南敦史