東京五輪へ向けて全日本女子バレーが抱える6つの問題点
東京五輪でのメダル獲得を目指す全日本女子バレーチームは、先の世界選手権で6位という成績に終わった。元全日本の大山加奈さんによる検証レポートの第2回は、問題点について迫る。大山さんが課題として挙げたのは、以下の6点だ。 (1)ブロックの課題 (2)ミドルブロッカーの人材不足 (3)足りないバックアタック (4)サーブのムラ (5)Aパス固執の影響 (6)戦術対応 「セルビアは、日本のブロックの上から打ち、コートの外にスパイクをとばしていました。サーブで崩してもボシュコビッチ、ミハイロビッチの2人は個人の能力で打てる。日本戦ではありませんが、イタリアとの決勝では、2、3枚、きちっとブロックがついていたのですが、それを抜いて、アタックラインの内側に打ちました。別次元です。決勝で、こういうスパイクを叩きつけてくるのか、と驚きました。できるだけブロックの枚数を多くして、絞るのが対策でしょうが、それだけでは対応できません。こういうチームに対応するためには、ブロックの高さを出す必要があると思いました。ブロックの高さを出すならスイングブロック。横の移動だけではなく、走りこみ、体の反動を使ってスイングするように飛ぶブロックです。これを使っている場面も見受けられましたが、もっと使っていいかもと」 0-3のストレートで完敗した3次ラウンドのセルビア戦では、T・ボシュコビッチ、B・ミハイロビッチの2人に42得点を奪われた。ブロックの上から打たれコントロールされた場面が目立った。大山さんは、こういうチームに対応するためブロックの高さを出す「スイングブロック」の導入を提唱した。 今大会では、34歳のベテラン荒木絵里香と28歳の奥村麻依の2人のミドルブロッカーの存在感が光った。だが、“ポスト荒木”が今なお出てこない。大山さんも、2年後の東京五輪を見すえた場合、そのミドルブロッカーの人材難を懸念する。 「サーブ、ブロック、スパイクのすべてにおいて荒木選手を脅かす選手が出てきていません。東京五輪では、まだ36歳でおそらくパフォーマンスは、そう落ちずに活躍してくれると思いますが、理想を言えば、荒木選手が控えにいてくれて、ここぞという場面で流れを変えてくれるくらいに、ミドルブロッカーの選手層が厚くあってほしいところです。しかし、選手が育ってきていません。原因としては、中、高のジュニア世代からオールジャパンで、ミドルブロッカーの育成に取り組んでいないという根本的な問題があると思います」