紀平が挑む4回転と羽生の4回転アクセル。どうなる来季のフィギュア界?!
紀平は、世界選手権後に来季の4回転挑戦を表明した。すでに4回転サルコウを成功しているとの情報もある。トリプルアクセルの基礎点は8.00だが、4回転ルッツは11.50、4回転トゥループは9.50ある。僅差の戦いの中で、この得点差は大きい。 トゥルソワ、シェルバコワのロシアコンビvs紀平の4回転バトルが熱くなりそうだが、まだ女子の場合、規約でショートプログラムに4回転を入れてはならないため、紀平が4回転を習得すればトリプルアクセルを合わせ持つ分のアドバンテージがある。 また紀平は、今季ショートの振り付けを羽生結弦(24、ANA)が師事するシェイリン・ボーン氏に任せる考えで、技術面、芸術面共にレベルアップを目指す。 一方、男子はどうだろう。五輪連覇の絶対王者、羽生が足首の怪我で欠場したためGPファイナルは、ネイサン・チェン(19、米国)が優勝、宇野昌磨(21、トヨタ自動車)が2位に食い込んだ。 世界選手権では、羽生が復帰。フリーでは、冒頭で4回転ループに成功、続く4回転サルコーは回転不足となったが、後半は4回転トゥループ、4回転トゥループ+トリプルアクセルの難易度の高いコンビネーションジャンプに成功、206.10点とし計300.97で今季世界最高得点を叩きだしたが、次のチェンがさらに凄かった。 冒頭の4回転ルッツは、GOE加点が4.76点ついて16.26点を稼ぎ、4回転フリップ、4回転トゥループも美しく降りた。4回転トゥループ+3回転トゥループも着氷し4本の4回転ジャンプをすべて綺麗に決めて216・02点、計323・42点で羽生に22.45点差をつけて連覇を果たした。 中庭氏の男子についての総括と来季展望は女子とは違ったものだった。 「男子は、演技時間が短くなったことでより強さとタフさが必要な競技になりました。GOEのふり幅が広くなったルール改正により、いかに4回転などの難易度の高い要素を美しく決めるかの質が問われ、プログラム全体の完成度、芸術性を高めることが重要視される傾向にありました。4回転の本数を多くても4本までに減らしてGOEをいかに稼いで勝つかという方向に向かっていました。おそらく、この流れは来シーズンも継続するでしょう。難しい技術の精密さが要求されることになります。また男子の場合はシニアデビューしてくるジュニア世代に驚異的な逸材は見当たらず、来季も羽生選手とネイサン選手の2人を軸に宇野選手、ヴィンセント・ゾウ選手などの複数の4回転を持つ選手が争うという構図に変わりはないと考えます。そうなると、この中で勝つためには、より難易度の高い4回転ジャンプを加えるプログラムが必要になってきます。しかし、それに伴って故障のリスクも高くなります。羽生選手もここ最近故障が続いており、宇野選手も今シーズン故障がありました。難易度の高い4回転をトレーニングするので、なおさら肉体への負担が増すのです。その対策、つまり難易度の高い練習に耐えられる身体作りを各選手がオフにどう練ってくるのかも重要なポイントになってくるかもしれません」 羽生は、すでに4回転アクセルへの挑戦を宣言している。羽生vsチェンのライバル対決に限っては、4回転アクセルの成否が勝敗を握ることになるのかもしれない。また巻き返しを狙う宇野もフリーで4回転を5本入れる難解なプログラムへの挑戦を明らかにしている。演技の質+最高レベルの技術革新。男子のフィギュア界も来シーズンは究極の戦いへと突入しそうな時代の流れがある。