センバツ広陵・支える人/上 石岡洋介マネジャー(2年) 日本一へ選手の力に /広島
<第91回選抜高校野球> 期末テストを控えた2月下旬の午前7時半過ぎ。監督室に入った石岡洋介マネジャー(2年)は中井哲之監督から「2年生とベンチ入りメンバーは練習。それ以外は勉強に時間を当てるように」と指示を受けていた。石岡マネジャーからは選手の体重変化などを報告し、チーム状態について意見を交わした。 部員の中で唯一、監督室の入室が許されている。練習メニューだけでなく、選手の課題、生活態度など監督が気付いた点を部員に伝え、ミーティングでは進行役も務める。チームをまとめる上で重要な役割だ。厳しい言葉もかけるが「嫌われることは覚悟している。チームが成長できるならそれでいい」。 マネジャー2人体制で、3年生が引退した後、1年生から立候補するのが通例。石岡マネジャーは「日本一になるため、自分にどのような貢献ができるかを考えた」と、1年生で選手を「引退」する道を選んだ。愛用していたスパイクはほかの部員に譲った。 昨夏、まとめ役の3年生が引退し、練習に身が入っていないと感じた。ミーティングで「やる気はあるのか」と詰め寄ったことも。悩んでいる時、猪多(いだ)善貴前主将(3年)から「相手の気持ちに響く言葉を使うといい」と助言を受けた。あえて厳しくするという考えが一変し「一緒に甲子園に行きたい」と素直な気持ちを伝えるようになった。 中国大会を直前に控え、チームに足りないことを指導陣に尋ねると「控えの選手を巻き込んでいくこと。野球はチームでするもんだろ」と返ってきた。ベンチ入りできなかった部員に伝えると、主力選手の練習を自主的に手伝うようになった。部員の1人は「石岡に言われて、やっぱり甲子園に行きたいと強く思った」と明かす。チーム一丸となって中国大会を制し、センバツへの切符をつかんだ。 今はベンチ入りメンバーの健康管理を徹底している。体調の悪そうな選手には積極的に声をかけ、トレーナーとの連絡も欠かさない。中井監督は「彼がいるから選手たちは安心して練習に打ち込める」と信頼は厚い。石岡マネジャーは「仲間への感謝を忘れることなく、日本一になるためにチームを支えていきたい」と意気込んだ。【隈元悠太】 ◇ センバツでの活躍を願い、広陵・呉の選手たちを支える人々を紹介する。