辰吉寿以輝のタイトル初挑戦が決定 迎え撃つ東洋太平洋王者・中嶋一輝は「テンション上がりますね」
「ボクシング・東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチ」(27日、後楽園ホール) 【写真】思わぬ男がリングに登場 次期挑戦者として現れた辰吉寿以輝 メインイベントで東洋太平洋スーパーバンタム級王者・中嶋一輝(大橋)が、7位の和氣慎吾(FLARE山上)の挑戦を2回2分11秒、KOで退けて初防衛に成功した。2021年に東洋太平洋、23年にWBOアジアパシフィック王座に就いている中嶋だが、いずれも初防衛戦でKO負け。三度目の正直でこの一戦に臨んでいた。 中嶋は1ラウンド、元王者で世界戦の経験もあるリーゼントボクサー・和氣のスピーディーな攻めを受けたが、2ラウンドに入ると強烈なボディーを立て続けに入れ、左フックを効かせると、トドメの左フックで10カウントを聞かせた。 終了後、元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎の次男で日本スーパーバンタム級10位の辰吉寿以輝(大阪帝拳)がリングイン。次期挑戦者として紹介され、中嶋と握手を交わした。 主役に敬意を払ってか、リング上では言葉少なだった寿以輝だが、迎え撃つ中嶋はネームバリューの高い挑戦者を「テンション上がりますね」と歓迎。プロモーターの大橋秀行・大橋ジム会長(59)は、年末ごろにこの一戦がメインの興行を行うとの方針を示した。 試合について、中嶋は「振ったパンチが当たって、効いたのは分かったのでまとめた。(左フックは)練習からずっとねらっていた」と振り返り、松本好二トレーナーも「内容的には言うことなし」と称賛した。 敗れた和氣は潔く中嶋をたたえ、「普通にパンチが効いて倒れた感じだった」と負けを認めた。プロ19年目、この試合が42戦目となったベテランは、今後について明言を避けつつも、「スッキリしている。結果が全てなので言い訳もない。負けてしまって、自分の口から世界という言葉を発することはできない」と話し、「19年間ありがとうございました」と冗談めかして報道陣に頭を下げた。 ◇ ◇ セミファイナルでは日本スーパーフェザー級王者・奈良井翼(RK蒲田)が、1位の福井貫太(石田)を挑戦者に迎えて初防衛戦を行った。 奈良井は左ジャブを効果的に使って自分の距離で戦う福井に強打を封じられて大苦戦。5ラウンド終了時点の公開採点では2者が48-47で福井、1者が48-47で奈良井を支持した。 7ラウンドからは奈良井が圧力を強めてパンチを放っていくが、双方決定的なシーンは作れないまま試合終了。判定は2者が96-94、1者が97-93で奈良井を支持し、奈良井が逆転の判定勝ちを収めた。 初防衛に成功した奈良井だが、「すいませんホントに。僕たぶん負けて田と思うんですけど、勝ってしまってすんません」と福井応援団に陳謝。「全然気持ち的にダメで、完全に左で距離を取られて、踏み込めなかった。福井選手はめっちゃうまかったです。全然おもろない試合して、皆さんにおもんないな、コイツはと覚えられたと思う」と猛省していた。