<頂点へ―’22センバツ九国大付>第1部/中 投手 短期決戦へ底上げ狙う /福岡
九国大付の投手陣を支えるのは、楠城徹監督とチームメートが全幅の信頼を置くエース左腕・香西(こうざい)一希(2年)と、捕手と投手を兼任する主将の野田海人(かいと)(2年)だ。昨秋の県大会、九州大会、明治神宮大会の公式戦全14試合のうち、香西が10試合、野田が4試合で先発。全投球回数の95%を2人が占めた。 「球のキレやいいボールをしっかり投げることを意識している」という香西は最速135キロながら完投8、無四死球試合2。スタミナと制球力に定評があり、変化球と直球の組み合わせで相手打者に的を絞らせない技巧派の投球が持ち味だ。「自分がしっかり投げられれば、チームのリズムが生まれる」。九州大会と神宮大会では「全国レベルの打者はスイングが鋭く、相手の読みを外す組み立てが必要と感じた」といい、バッテリーを組む野田と裏をかく投球術の進化を目指す。 本格派右腕の野田は昨夏の現チーム発足後から投手を兼任している。最速146キロの直球を武器に九州大会では先発、ロングリリーフいずれでも重責を果たした。捕手が本職と考えてはいるが、神宮大会準決勝で優勝校の大阪桐蔭に打ち込まれた悔しさを胸に、「マウンドに立つ準備はいつでもできている」とピッチングにも全力で取り組む構えだ。 センバツで優勝するには、決勝までの13日間で5試合に勝たなければならない。だが、日本高校野球連盟は昨年のセンバツから1週間に500球の投球制限を設けた。甲子園の短期決戦では、香西、野田に続く3、4番手が3月18日のセンバツ開幕までにどれだけ成長できるかも重要になってくる。 楠城監督は「投手陣の底上げ、そして野田が投手に回ったときの捕手、すべてにおいて底上げが必要」と強調する。大会メンバーを決めなければならない2月中旬が迫るなか、楠城監督は当落線上の投手たちにさらなる奮起を促している。【浅野翔太郎】 〔福岡都市圏版〕