父と息子で始めたカフェ 納屋を改装した「ルートコーヒー」/福岡県福津市
「経営のことは父がみて、自分は料理の仕込みやコーヒーの準備などを担当します。役割分担がはっきりしているから、バランスのいい関係でいられるのかな」 修大さんが隣町で一人暮らしをして、適度な距離感を保っていることもプラスに作用しているようだ。とはいえ休日などには、体育館で一緒にバスケットボールをしたり、共通の趣味であるバイクでツーリングを楽しんだりすることもあるそうだ。 「自分のことを信頼して、受け入れてくれるから助かっています」と修大さん。一方、勤め先を早期退職した栄一さんは「毎日が発見の連続で楽しいです。息子だからかなぁ、日中ずっと一緒でも気をつかわないから居心地がいい。10年、20年と続けられたらうれしいですね」と話す。
これからも二人三脚
その栄一さんは目下、修大さんに教わりながらハート模様のカフェラテを、いかにうまく作るかという課題に取り組んでいる。毎朝、開店の準備をするタイミングで練習に励む。 「初心者なので、まずは楽しいイメージを持ってもらうように意識しています」と修大さん。「まだ30点くらいですかね」と手厳しいが、奮闘する父を見守っている。
店で出すコーヒーは、インドネシア産のマンデリンという豆を使う。香りが良く、シナモンのような風味も感じられる。 「息子が選び抜いたものだから信頼しています」と話す栄一さん。初めはクセがあると感じたが、「これがウチの味」とだんだん自信をもてるようになった。
ルートカフェという店の名は、修大さんが考えた。ルートには二つの意味がある。「根っこ」と「道」。先祖代々暮らしてきた土地に根を下ろし、店までの道をたどりやって来てくれた人たちと交われたら――。そんな願いを込めているそうだ。
読売新聞