アメリカで1人暮らしの70代女性、総資産額はなんと9億円…日本に住む親族が直面する、衝撃の実態
外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2023年10月1日時点で海外に永住している日本人は約57万人となっており、過去最高となっています。老後を海外で過ごすことも珍しくなくなった現在、“海外での終活”はどのようなものになるのでしょうか。 【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ 特に、“相続”は国によって制度が大きく異なり、どのようなフローを踏むことになるのか、相続人と被相続人の双方が事前に確認しておくことが重要になります。相続対策のサポートを専門とする会社・夢相続の曽根恵子さんが、アメリカ在住の70代女性Sさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。 夫と死別し、1人暮らしのSさん。子供はいません。資産は夫から受け継いだものと合わせて、600万$ほどもあります。相続人となる親族は7人いて、全員日本に住んでいます。このケースでは日本での相続手続きが必要になります。 記事前編は「アメリカで1人暮らしをする70代女性、その総資産額は9億円…相続準備で判明した“驚きの事実”」から。
アメリカの相続税の基礎控除は約17億円!
アメリカの相続税は「Estate Tax」といい、日本語にすると「遺産税」と訳されます。 日本の相続税は税務署に対して申告・納付する国税ですが、アメリカの遺産税は、国税に相当する「連邦遺産税」と地方税に相当する「州遺産税」とがあります。 アメリカの連邦遺産税の基礎控除は、1140万ドルとなっています。これは、現在のレート150円として日本円に換算すると約17億円となり、遺産の額がこの金額に満たない場合には、遺産税は発生しません。基礎控除を超えた額に対する連邦遺産税の税率は18~40%です。
一方で、日本は?
けれども、日本の相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。Sさんの場合、相続人7人ですので、7200万円ですが、それを超えた財産については10%~55%の相続税が課税されますので、相続税の負担は必須になります。 仮に600万$=9億円の財産だと想定した場合の相続税は2億1200万円程となります。 日本の相続税の負担がいかに大きいかということになります。